「HC85系」で運転される特急「南紀」1号 写真右側に並ぶのは在来線の新型車両315系

JR東海の新型ハイブリッド車両「HC85系」が名古屋~新宮・紀伊勝浦を結ぶ特急「南紀」に導入されました。営業運転初日となる2023年7月1日、JR名古屋駅で出発式が行われ、「南紀」1号 紀伊勝浦駅行が8時2分ごろ12番線を発車しました。

テープカットにあわせ「南紀」1号が出発、紀伊勝浦へ向かいます

「HC85系」はこれまで「ひだ」「南紀」を担ってきた「キハ85系」を置き換えるためJR東海が開発した新型車両です。ハイブリッド方式としては国内初となる最高時速120km/hを誇り、安全性・安定性の向上や環境負荷の低減を図りつつ、高い静粛性や揺れの少なさ、全座席へのコンセント設置などで快適なサービスを提供。国土交通省の日本鉄道大賞や鉄道友の会の2023年ブルーリボン賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

「南紀」での運用にあたっては2両編成での運転を基本とし、繁忙期など大勢の利用が見込まれる時期は増結して4両で運転を行うイメージです。なお、先代車両の「キハ85系」は昨日をもって「南紀」定期列車での運行を終了しており、来週8・9日のツアー列車 特急「さよならキハ85系」号の運転を最後にJR東海管内からは引退します。

沿線と手を取り合って旅の魅力高める

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出発式にはJR東海の丹羽俊介 代表取締役社長ほか、一見勝之 三重県知事、大石英一郎 中部運輸局長らが出席。丹羽社長は「HC85系の『南紀』で多くのお客様に南紀地方をご旅行いただければ」と語り、運行開始にあたり沿線の方々との連携やその魅力向上について改めてアピールしました。

取材陣からの質問に答えるJR東海 丹羽俊介 代表取締役社長

式典には特急「南紀」のおもてなしに協力した三重県の高校生らの姿も。「HC85系」には沿線の伝統工芸品などを鑑賞できる「ナノミュージアム」というスペースもありますが、それらとは別に三重県立尾鷲高等学校の生徒たちが制作した書道・美術作品が展示されます。三重県立木本高等学校の生徒たちは車内観光放送の吹き込みを担当、世界遺産熊野古道の歴史や魅力を紹介します。

記事:一橋正浩

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