特急「ひだ」や「南紀」で活躍したキハ85系が京都丹後鉄道へ譲渡されます。

平成を駆け抜けた「ひだ」「南紀」の特急型気動車

JR東海は「ひだ」「南紀」用の車両を新型のHC85系に順次置き換えており、「ひだ」定期列車は今春のダイヤ改正で全て新型に。今年7月からは「南紀」にも投入されます。

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これまで運用に就いていたキハ85系は1989(平成元)年に登場(1992年から南紀に投入)。特急「ひだ」のスピードアップとサービス向上を目的として開発された車両で、軽量ステンレス車体とカミンズエンジンの採用で120km/hを実現し、山岳路線を力強く走る姿やワイドな眺望で多くの鉄道ファンを魅了しました。

キハ85系は一部を除き1988(昭和63)年から1992(平成4)年にかけてつくられており、製造から30年も経過しています。JR東海は全ての車両を解体するのか、それとも他社へ譲渡する可能性はあるのか……鉄道ファンの間ではキハ85系の動向が注目されていました。

京都丹後鉄道は2022年に車両更新を発表済み

京都丹後鉄道(丹鉄)が2022年に発表した「安全報告書2021」のなかに、「車両更新 2両1編成(中古車両)」と記載があります。

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「西舞鶴に留置されているタンゴエクスプローラーを気動車で置き換えるのでは」といった予想もあり、キハ85系も候補の1つとして挙げられていました。

実際のところどうなのか。事実としてタンゴエクスプローラー用のKTR001形気動車は、2022年9月から解体が始まっています。京都丹後鉄道の親会社であるWILLERに確認したところ、キハ85系はタンゴエクスプローラーの置き換え用として導入するということです。

導入両数については、中日新聞が3月7日に報じた「JR東海の特急キハ85系、京都丹後鉄道に譲渡 23年度中にも運行へ」では「JR東海によると、キハ85系の車両4両を京都丹後鉄道側に譲渡」との記載がありましたが、他メディアでは「2両1編成を導入」と報じられていました。こちらも詳細をWILLERに確認したところ、「4両購入し、うち2両は部品取車両です」とのことで、実際に走るのは1編成とみて間違いなさそうです。

キハ85系は今年2月~3月にかけて京都鉄道博物館でHC85系とともに展示されたのち、京都丹後鉄道へ回送される姿が目撃されており、鉄道ファンの注目を集めていました。再デビューの時期などは未定ですが、今後は京都丹後鉄道で活躍する姿が見られそうです。

(写真:H.Yamaguchi / PIXTA)