路面電車が新規開業すると沿線の賃貸物件への問い合わせはどれだけ増えるか
国内では75年ぶりとなる新しい路面電車、芳賀・宇都宮LRTが2023年8月26日に開業します。
JR宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地までの14.6kmの軌道と19の停留所が整備され、現地では頻繁に習熟運転などが行われている状況です。
もちろん、熱い視線を注ぐのは鉄道ファンばかりではありません。沿線にお住まいの方や宇都宮市へ引っ越したいと考える方にとっても、家賃相場の変動など気になることはたくさんあるでしょう。
LIFULLが運営する情報サイト「LIFULL HOME’S PRESS(ライフルホームズプレス)」は2023年8月9日、芳賀・宇都宮LRT(宇都宮ライトレール)の開業に伴う賃貸物件市場の動向について、興味深い調査結果を発表しました。
「新しい路面電車の開業で、問い合わせはどれだけ増えるのか」――もちろん、開業する街の規模や産業にもよりますが、宇都宮市という北関東最大の都市(人口50万人越え)ではこうなった、という一つの資料として参考になりそうです。
賃貸物件は前年比54.0%増、新築に限ると……
「LIFULL HOME’S PRESS」によりますと、芳賀・宇都宮LRT沿線の居住用賃貸物件への問い合わせは、前年同月比でプラス54.0%とおよそ1.5倍に増加したということです。一方で宇都宮市・芳賀町のその他の町域ではマイナス1.9%とやや落ち込んでいるようです。
掲載物件数自体は沿線でプラス7.6%、その他でプラス5.1%。新線開業による居住ニーズの増加が数字に表れています。
驚くべきは新築賃貸物件の方です。同じく2023年3月に寄せられた問い合わせは、なんと前年同月比でプラス587.5%の1,571件。新築賃貸物件の掲載数はプラス142.7%と提供数それ自体も例年より増えていますが、問い合わせの増加幅はそれを大きく上回ります。
新線開業の家賃相場への影響は?
沿線では賃料水準も上昇中です。2023年4月の沿線の平均賃料は6万7,626円で前年同月比プラス10.9%。その他町域が5万8,100円でプラス4.8%にとどまります。
興味深いのは家賃相場の推移。2021年4月に一度高止まりしたのち、2020年10月頃の相場まで下がってから再度上昇しています。これはコロナ禍や工事の遅れによる開業延期が影響したものと見られます。
将来的にはJR宇都宮駅の西側で二荒山神社や東武宇都宮駅付近を通り教育会館付近まで整備する計画もあり、大谷観光地付近までの延伸も検討されていることから、今後は西側の家賃相場なども変わってきそうです。
【関連リンク】