「東急電鉄 乗降人員ランキング」渋谷・横浜・武蔵小杉の順位は?東急全線ワーストは?新横浜線開業で新たな需要が拡大?

東急電鉄が公表した「2024年度駅別乗降人員・輸送人員」の詳細なデータから、新横浜線開業が沿線にもたらした大きな影響が見えてきました。広域直通ネットワークの拡充により、新幹線連絡駅の新横浜や新駅の新綱島が乗降人員を大きく伸ばし、特に新綱島は41.3%増を記録しています。
今回は、2024年度(2024年4月~2025年3月)の期間の、東横線や田園都市線、新横浜線をはじめとする「各路線のベスト3」と、渋谷・横浜といった主要ターミナルを含む「東急線全体でのベスト駅やワースト駅」を徹底解説します。
新線の東急新横浜線はどれくらいの人が利用している?
まずは東急の各線の状況から、お伝えします。
東急新横浜は、2023年3月18日に日吉駅~新横浜駅が開業した、東急で一番新しい路線です。同時に開業した相鉄新横浜線とは新横浜駅でつながり、神奈川県央部・横浜市西部~東京都心部が直結しました。東急や沿線住民にとっては、新幹線の停車者駅であるJR新横浜駅と直接つながるという、非常に大きな意味を持つ路線です。
東急新横浜線は、新横浜が87,976人で突出し、新綱島が16,473人、日吉(新横浜線集計分)が8,459人でした。新幹線連絡駅としての新横浜が利用をけん引し、新駅の定着が数字に表れています。ダイヤは2024年3月16日の改正で、新横浜〜日吉間の昼間を概ね毎時8本に拡充、使いやすさを高めたとみられます。
【東急新横浜線ベスト3】
1位 新横浜 87,976人
2位 新綱島 16,473人
3位 日吉 8,459人
新横浜は1日平均87,976人(前年比23.1%増)で、内訳は定期40,066人、定期外47,909人となりました。開業2年目の新綱島も1日平均16,473人(41.3%増)と高い伸びを維持し、新横浜線全体では1日平均97,616人(25.9%増)を記録しています。
新横浜は、相鉄方面・東横線方面・目黒線方面の3方向から新幹線連絡駅に直結していることに加え、JR横浜線と横浜市営地下鉄の結節機能が重なり、定期外の比率が高いとみられます。
横浜アリーナや日産スタジアムの催事、ビジネス出張、観光での新幹線利用が重なり、平日・休日の区別なく流動を押し上げました。

新綱島は、東横線綱島エリアの需要分担先として機能しています。1日平均16,473人で、前年から41.3%増となりました。周辺の再開発やバスターミナル整備が進み、東横線綱島の混雑分散に寄与するとともに、新横浜線経由で都心や新幹線方面へ抜ける経路の選択肢が拡大しました。新駅の定着とエリア回遊の向上が相まって、通勤・通学に加え、買い物やイベント来訪といった非定期の流動も取り込みが進んでいます。
日吉は各線をまたぐ乗り継ぎが堅調で、線区ごとの合計では、東横線が1,095,853人(2.8%増)、目黒線が381,578人(6.1%増)、田園都市線が1,159,779人(2.6%増)でした。
東京・渋谷~日本最大の都市・横浜を結ぶ東急東横線
東急東横線は、東京でも屈指のターミナル駅である渋谷と、日本一の大都市である横浜を結ぶ、大動脈です。横浜側の終着駅はかつては桜木町駅でしたが、2004年1月30日に横浜高速鉄道みなとみらい線の開業に伴い、東横線が渋谷からみなとみらい線への相互直通運転を開始するために、横浜~桜木町間は廃止されました。
【東横線ベスト3】
1位 渋谷 414,186人
2位 横浜 311,311人
3位 中目黒 178,509人
【東横線ワースト3】
1位 反町 13,199人
2位 多摩川 13,666人
3位 東白楽 15,371人
東横線では、渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエなどの再開発が進む渋谷が414,186人、横浜が311,311人、中目黒が178,509人と、主要拠点が上位を占めました。
一方、反町13,199人、多摩川13,666人、東白楽15,371人と、短距離区間や中間小駅は落ち着いた水準にとどまっています。

東横線の主要駅の日吉から目黒を結ぶ目黒線の状況は?
東横線の混雑を緩和するためのバイパス路線として、かつての目蒲線(目黒と蒲田を結んでいた路線)の一部(目黒駅~多摩川駅)と、東横線多摩川駅~日吉駅を複々線化して作られた比較的新しい路線である目黒線は、2006年に現在の路線が開業しました。
現在では急行の運転や東京メトロ南北線との直通運転も行われ、中目黒と渋谷へ集中していた東横沿線の乗客を、目黒方面へと誘導することに役割を果たしています。
【目黒線ベスト3】
1位 目黒 271,279人
2位 武蔵小杉 51,637人
3位 日吉 50,029人
【目黒線ワースト3】
1位 多摩川 4,166人
2位 新丸子 7,504人
3位 田園調布 11,100人
目黒線では、目黒が271,279人、武蔵小山が54,004人、武蔵小杉が51,637人と続きました。少ない駅は多摩川4,166人、新丸子7,504人、田園調布11,100人で、都心直通の起点や大型住宅地の拠点が上位をけん引しています。

東急が開発した横浜丘陵の町々を結ぶ東急田園都市線
これぞ東急という、沿線の都市開発を行って、沿線人口の増加や街の発展に寄与してきた田園都市線。現在の沿線主要駅の状況を見てみましょう。
【田園都市線ベスト3】
1位 渋谷 604,246人
2位 溝の口 142,147人
3位 あざみ野 118,219人
【田園都市線ワースト3】
1位 田奈 9,505人
2位 すずかけ台 10,465人
3位 つくし野 10,686人
田園都市線は渋谷604,246人、溝の口142,147人、あざみ野118,219人、長津田117,169人、中央林間95,830人が上位に並び、いずれも堅調な数字でした。大型の郊外型商業施設を抱える南町田グランベリーパークは46,967人と、集客を伸ばしています。

大井町と溝の口・二子玉とを南北に結ぶ大井町線
大井町は、従来からのJR主要路線であるJR京浜東北線に加え、2002年12月のりんかい線が開業したことで、大きく街が変わるつある首都圏の駅の一つで、まさに現在、JR駅や品川区役所の周辺では大規模な開発が行われています。そんなJR主要駅である大井町と、東急東横線の自由が丘、東急田園都市線の主要駅二子玉川と溝の口とを結ぶのが、東急大井町線です。
【大井町線ベスト3】
1位 大井町 116,836人
2位 溝の口 53,615人
3位 二子玉川 51,203人
【大井町線ワースト3】
1位 北千束 7,266人
2位 下神明 9,364人
3位 緑が丘 10,090人
大井町線は、大井町が116,836人で最も多く、溝の口53,615人、二子玉川51,203人が続きました。一方で、北千束7,266人、下神明9,364人、緑が丘10,090人となりました。

ローカル路線感が漂う池上線
東京の五反田駅から、大田区の蒲田駅までを結ぶ池上線は、都下の住宅街の中を各駅停車の3両編成の電車が運行され、ローカル鉄道という雰囲気を感じられる路線です。戸越銀座商店街のような活気ある商店街や、池上本門寺、洗足池公園などの名所旧跡がある、独特の雰囲気を持つ路線です。
【池上線ベスト3】
1位 五反田 95,723人
2位 蒲田 69,179人
3位 池上 35,181人
【池上線ワースト3】
1位 大崎広小路 7,648人
2位 蓮沼 8,254人
3位 荏原中延 12,777人
池上線は、五反田が95,723人、蒲田が69,179人、池上が35,181人で上位に入りました。少ない駅は大崎広小路が7,648人、蓮沼が8,254人、荏原中延が12,777人でした。山手線・京浜東北線との結節駅が強さを示しています。

東京南部の南北移動を担う路線、多摩川線
全長約5.6kmの短い東急電鉄の路線で、東京都大田区の多摩川駅から蒲田駅までを結んでいます。元々は目蒲線の一部でしたが、2000年に目黒線と分割されて、多摩川沿いを南北に貫く路線として、3両編成の各駅停車が運行をしています。
【東急多摩川線ベスト3】
1位 蒲田 79,221人
2位 下丸子 31,438人
3位 武蔵新田 25,710人
【東急多摩川線ワースト3】
1位 多摩川 3,678人
2位 沼部 10,289人
3位 鵜の木 19,463人
東急多摩川線は、JRと京急との乗換駅の蒲田が79,221人、下丸子が31,438人、武蔵新田が25,710人で上位。少ない駅は多摩川が3,678人、沼部が10,289人、鵜の木が19,463人でした。
こどもの国線は、長津田が11,146人、こどもの国が10,174人、恩田が974人でした。なお、世田谷線は、駅別の内訳は示されていません。
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