1990年代に販売していたベッカーズバーガーを今の食材で可能な限り再現した「ラスト・ベッカーズバーガー」。11月9日から販売されていた。(画像:JR東日本クロスステーション フーズカンパニー)

JR東日本クロスステーション フーズカンパニーが展開するハンバーガーレストラン「ベッカーズ」、その最後の店舗となった柏店が11月22日夜10時に閉店する。ベッカーズはこれをもってブランドクローズとなる。

ベッカーズは1986年11月、新宿三井ビルディングに第1号店をオープン。1990年代には自家焼成バンズを使用するハンバーガーも登場し、最拡大期には約40店舗を関東近郊に展開していた。

コンセプトは「レストランクオリティのハンバーガー」だ。お店で一から手作りしたバンズを用い、注文を受けてから作る「別格」シリーズなどを駅ナカ利用者向けに提供していた。

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2014年には「鹿肉バーガー」で農林水産省第22回優良外食産業表彰地域社会貢献・環境配慮部門大臣賞を受賞している。JR東日本グループのブランドということもあり、駅ナカコンビニ「NewDays」と連動したジビエバーガーの販売なども行っていた。

鹿肉を使った国産ジビエバーガーはクセも少なく上質な味わいが素晴らしかった。その質の高さは折り紙付きで、正統派で美味しく、安心できるハンバーガーチェーンとして愛用していた方も少なくないだろう。

先進性もあった。2019年には「R・ベッカーズ池袋東口店」にセルフ注文決済端末を導入した。首都圏のファーストフード・チェーンではもはや見慣れたタッチパネル型の端末だが、当時はコロナ禍前で「非接触」が求められる時代ではなかったこともあり、まだまだ珍しいものだった。

そんなベッカーズがなくなる。JR東日本クロスステーションフーズカンパニーに撤退理由について問い合わせたところ、「コロナの影響、材料費、人件費の高騰などの煽りを受け、経営悪化が進み、年間を通しての厳しい経営状況が続いておりました。少数店舗での存続については、仕入れ及び人材運用の面でスケールメリットを発揮できず、経営的にも難しいと判断し今後においても好転する見込みもないことから、ベッカーズ事業の撤退を決めました」との回答をいただいた。

正統派で美味しいハンバーガーブランドだったこともあり、「ベッカーズ」の終了を惜しむ声も多い。今後「ベッカーズ」のようなブランドを展開する予定はあるか問い合わせたところ、現時点では未定とのことだった。

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