京急川崎駅に隣接する 15.000人規模のアリーナを中心としたエンタテインメント施設「 川崎新!アリーナ・プロジェクト 」の進捗状況が発表されましたのでお伝えします。

川崎に最大15,000人規模の新アリーナを含む総合エンタテインメント施設が誕生

複合施設イメージイラスト(多摩川側からの視点)  ©DeNA / Keikyu Corporation

この新施設の開発は、ディー・エヌ・エー(DeNA)と京浜急行電鉄(京急)が共同で進めているものになり、2028年10月の開業予定です。周辺で進められる「京急川崎駅西口地区第一種市街地再開発事業」とも連携しながら、川崎市などとも協議をしながら進めるものとなります。アリーナ施設に加え、ホテルや飲⾷施設、スパ、公園機能等の複合施設を備える「複合エンタテインメント施設」として開発されます。

駅近の立地&川崎駅の場所の優位性

新施設は、京急川崎駅に隣接し、JR川崎駅からでも徒歩5-9分程度という駅からの移動に非常に恵まれた場所に建設されます。JRと京急の線路に挟まれた、現在はKANTOモータースクール川崎校がある場所になります。

駅近の立地 ©DeNA / Keikyu Corporation

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「JR川崎駅」はJR東海道線の利用で品川駅から1駅・10分、横浜駅から1駅・7分という首都圏南部の要所に位置し、「京急川崎駅」は羽田空港駅から直行で13分という場所になり日本各地や世界各国からの空路利用にも非常に便利なため、まさにアクセス抜群の場所といえるでしょう。

©DeNA / Keikyu Corporation

当初計画より規模拡大し 最大15,000人規模のアリーナ計画へ!

今回は、2023年3月の計画との違いとして、建設予定地に隣接する敷地を追加取得ができたことが明かされました。当初の建設予定地の面積約11,670㎡に新たに約1,970㎡の敷地が加わり、計約13,640㎡へと拡張された計画に修正され、複合エンターテインメント施設内のメインアリーナでのイベント興行時の最大想定収容人数は当初の10,000人から15,000人規模へ上方修正されました。これにより、音楽ライブや格闘技の試合、バスケットボール以外のスポーツイベントなどを、1万人を超える国内最大規模の各種のアリーナイベントの実施が想定できるということです。羽田空港に近いという場所のため、海外音楽アーティストの日本公演の候補地になることも想定もされ、世界中から人を呼べるインバウンド拠点としての活用も視野に入っているようです。

複合施設内のイメージ

この複合施設は、3階デッキで京急川崎駅方面と接続されることになり、3階の接続部分にPLAZA(仮)と呼ばれるイベントができるような玄関広場が設けられる予定とのことです。施設内には、最大15,000人規模のメインアリーナの他に2,000人規模のサブアリーナという2つのアリーナ施設、フードホールやSPA施設、レストランやホテルなどが想定されています。

2023年11月時点の断面構成イメージ(内容は今後変更となる場合があります)  ©DeNA / Keikyu Corporation

施設の設計・デザインには世界中で活躍するパートナーを選出

新アリーナを含む複合エンターテインメント施設の設計は、東急歌舞伎町タワーや東京有明アリーナなどの実績を持つ「株式会社久米設計」が、アリーナのボウルデザインやUXデザイン等は、国内外のスタジアム・アリーナの開発に関わるメンバーが所属する「オーバーランド・パートナーズ」が、外装デザインは世界的なコンペティションでも実績を残しパリを拠点に活動している「モロークスノキ建築設計」が担当するということが発表されました。

用途構成イメージ図
※2023年11月時点のイメージ図  ©DeNA / Keikyu Corporation

Bリーグ「川崎ブレイブサンダース」新ホームアリーナへの期待

このアリーナの利用が発表されているプロスポーツチームとして、DeNA傘下のプロバスケットボールB1リーグの強豪チーム「川崎ブレイブサンダース」があげられます。現在のB1では各チームのホームゲームが年間30試合なのですが、2028-29年シーズンからは、そのホームゲームがこの新アリーナで開催されることになります。(2026年からはB1はBリーグプレミアに変更される予定)
川崎ブレイブサンダースは、現在は同じ川崎市の等々力緑地内にある「どろきアリーナ」をホームアリーナとして使用しています。とどろきアリーナは、武蔵小杉駅(JR南武線・横須賀線、東急東横線・目黒線)もしくは溝の口駅(東急田園都市線)、武蔵溝ノ口駅(JR南武線)で下車をしてバスでの移動が主な観客の交通ルートになっているため、新スタジアムになるとアクセス面の利便性は大きく向上することになります。また、現在の最大人数は5,000人程度となっているのが、新しいアリーナになことで収容可能人数10,000人~12,000人程度での試合開催となりチームの収益面での利点も非常に大きいと考えられます。
とはいえ、Bリーグ自体の人気が上がっていかなければ観客動員数の伸びは期待できないところではありますが、現在のBリーグ人気のバロメーターとして「DeNAがBリーグチームを東芝から継承してからの5年間で、売り上げは7倍程度に成長しています。また、小学生に向けてのバスケットボール・スクール事業に関しては、開始当初はわずか50人程度の生徒だったものが、現在では2,000人まで大幅に増加してます。」(DeNA川崎ブレイブサンダース取締役会長 元沢伸夫氏)という話が聞けました。現在ちょうど8年目のシーズンに突入したBリーグですが、その人気は特に若い人や子育て世代などを中心に確実に増加をしているのだと感じられました。

京急川崎駅への期待

川崎駅の1日の乗降客数ですが、JRと京急の川崎駅を合わせて、40-45万人程度(JRが32万人程度、京急が10万人程度)と非常に大きな集客力をもつ駅周辺の地域だという事がわかります。JR川崎駅直結で三井不動産が展開する「ラゾーナ川崎」は全国のショッピングセンターの中でも屈指の売上を誇り、映画館や1300人規模のライブ施設がある「ラチッタデッラ」や、ヨドバシカメラや水族館が入る「川崎ルフロン」、全国3位の大規模な地下街「川崎アゼリア」、その他にも「川崎モアーズ」や「川崎ダイス」といったいくつものショッピングビルや商店街が揃い、JR西口にある音楽ホールの「ミューザ川崎」では約2,000人規模のコンサートが開催されるなど、様々な集客ができるものが複合的に存在しているというエリアになります。今回の新アリーナなどの稼働後には、この地域に新たな1.5万人以上にもなる観客を、継続的に集客できるという事になると考えられます。
「京急川崎駅の乗降客数は、京急の中では、横浜・品川・上大岡に次ぐ4位のターミナル駅ではありますが、今回のアリーナを含む新複合施設の開業により、今後の乗降客数増加が見込める重要な駅と位置付けています。」(京急電鉄 生活事業創造本部 まちづくり推進部 小松 麻依氏)京急はこのアリーナなどの複合施設の開発の他にも、隣接地にあたる京急川崎駅西口地区の再開発事業にも携わっており、既に地上24階建て、高さ約119mの商業・オフィスビルの建設等が発表されています。京急川崎駅や周辺の再整備なども含めて、川崎の玄関口にふさわしい交流拠点を形成していくとことでしょう。

建設予定地空撮イメージ画像 ©DeNA / Keikyu Corporation

川崎駅周辺エリアに新たなにぎわいを!

DeNAと京急の2社はこの「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」を推進していく上で、単なる施設の建設・開業にとどまらず周辺エリアの新たな賑わいづくりを目指しており、この場所から新たな文化を創造するイベントなどを企画していくそうです。
DeNAは2023年11月25日(土)・26日(日)に、多摩川のリバーサイドを活用したバスケットボールや音楽、アート、フードなど川崎らしさを堪能しながら様々な人と交流が楽しめるイベント『川BON!祭』(読み:かわぼんさい)を開催します。
また京急電鉄は、2023年11月23日(木・祝)・24日(金)・25日(土)・26日(日)に『川崎ビール祭』を、2023年12月2日(土)・3日(日)に『京急クラフトビールフェス 2023』を開催します。
今後も、このプロジェクトに関しては定期的に進行状況などを説明する機会を設けて行くそうですので、期待を込めて、川崎での新アリーナ に関連するプロジェクトの進行を見守っていきましょう。

(鎌田啓吾 鉄道チャンネル)

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