JAMのステージイベントで語る石破さん。山陰筋は「携帯圏外」のエリアも多く、「圏外だと電話も来ないのでリラックスできた」と回顧した(筆者撮影)

2024年9月27日の自由民主党の総裁選で新しい総裁に選出、次いで10月1日召集の臨時国会で第102代内閣総理大臣に指名された石破茂自民党元幹事長。マスコミで報道されたプロフィールには、「鉄道オタク」のフレーズが見られたが、衆参両院700人を超す国会議員でも筋金入りの鉄道ファンとされるのが石破さんだ。

(本ニュースは政治を離れた鉄道の話題なので、フラットに「さん付け」で紹介する)

本サイトが石破さんの〝鉄道愛〟の一端を報じたのが、2022年8月に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた21回目の「国際鉄道模型コンベンション(JAM)」だ。

石破さんは「令和鉄道放談」のタイトルで、JAMのステージイベントに登壇。同じ衆議院議員で、こちらも生粋の鉄道ファンを自認する前原誠司さん(現在は教育無償化を実現する会代表)と鉄道談義を繰り広げた。

石破さんは、山陰特急「出雲」の乗車回数1000回以上。電車特急「サンライズ出雲」になる前のブルトレ時代の話だ。1000回以上は、きちんと数えたわけでなく、地元・鳥取県と東京の間を多い時は週4で往復していたので、「そのくらいは乗っているはず」という数字だそう。

「出雲」では、数々の武勇伝を残した。東京~山陰間の移動中、ブルトレに乗車していると呼び出しが掛かる。「食堂車で◯◯団体の方がお待ちです」。地元関係者との情報交換も政治家の大切な仕事。ただ「泥酔し過ぎで、財布をなくしてしまったことも」と苦笑していた。

ここ数年、空前の鉄道ブームといわれる一方で、特に地方鉄道は厳しい経営環境に置かれる。

打開策をめぐっては、令和鉄道放談で「列車の旅で楽しいのは『食事』、『景色』、『ローカルな雰囲気』の3つ。ある鉄道会社は豪華観光列車で事前に乗客の希望を聞き、可能な限りリクエストされた地点でゆっくり走るようにしているそう。鉄道会社の経営は厳しいが、創意工夫の余地はあるはず。乗ってみたくなるサービスで、鉄道が社会的な存在価値を高めるように期待している」と発言した。

石破さんと前原さんは、これから与野党のトップ同士。政治の話はさておき、前原さんは「心からお祝い申し上げる」とエールを送った。

鳥取の鉄道でもう一題、石破さんがゲスト参加したのが、2015年4月に地元の第三セクター・若桜鉄道で運行されたSL「地方創生号」。実際はディーゼルけん引ながら、SL・C12と客車を編成して若桜~八東間を往復した。

沿線に約1万3000人を集めたイベントで当時、地方創生担当大臣だった石破さんは、祝辞を述べ、列車に出発合図を送った。

乗客を乗せられないため、120体のかかしで車内を埋めた若桜鉄道「地方創生号」(写真:日本鉄道コンサルティング)

内政、外交と課題山積の日本政府。石破さんも当面、鉄道趣味に浸る時間は取れそうもないが、鉄道愛を忘れないでと期待を示したい。

記事:上里夏生

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