【私鉄に乗ろう 14】えちぜん鉄道 三国芦原線 その1
※この「私鉄に乗ろう」の写真は、筆者がプライベートで旅行して撮影したものです。鉄道会社さんから許可をいただいていませんので、乗車券があれば誰でも入れる場所からの写真です。素人のスナップ写真なのでクオリティーには目をつぶってご覧ください。
第三セクターえちぜん鉄道は京福電鉄を引き継いだ会社です
京福電鉄の前身、京都電灯が昼間は織物工場の多い福井に、逆に祇園をはじめ夜間の電力需要が大きい京都に電力を融通するために建設した「京福送電線」がその語源と言われています。つまり京都と福井を結ぶ鉄道が計画されたわけではないのですね。
福井県で京福電鉄が運営していた「勝山永平寺線」は福井駅から九頭竜川に沿って繊維の町「勝山」を結び1974年(昭和49年)までは大野市の京福大野駅まで路線が延びていました。また旧国鉄金津駅(現・芦原温泉駅)から永平寺までの24.6kmの永平寺線が運行されていましたが、1969年(昭和44年)金津駅〜東古市駅(現・永平寺口駅)が廃止、その後京福電鉄が福井から撤退した後第三セクターのえちぜん鉄道がその路線を引き継ぎましたが東古市(現・永平寺口)〜永平寺間は引き継がれず2002年(平成14年)に廃止となりました。
さらに福井口から港町の三国を結ぶ「三国芦原線」があります。こちらも元は京福電鉄の運営でしたが2003年(平成15年)からえちぜん鉄道が運行しています。2016年(平成28年)からは田原町駅を経て福井鉄道福武線との相互直通運転が行われています。この福井鉄道福武線がJR福井駅前の福井駅停留所から市役所前を経て商工会議所停留所までは併用軌道なのです。赤十字前駅の手前から越前武生駅までは鉄道線で普通鉄道と同じという路線です。こちらにも乗り継ぎますからお楽しみに。
早朝の福井駅を出発
まずは「三国芦原線」に乗ります。1月の早朝なので暗いです。
2015年8月に撮った写真です。高架駅に移るのが9月からなので直前です。右奥に当時のえちぜん鉄道のホームが見えています。
MC7000形(7005)が回送で停まっていました。元JR東海が飯田線で使用していた車両を2013年(平成25年)から12両譲り受けて改造したものです。(2015年8月撮影)
暗いのであまり写真が撮れません。鷲塚針原駅です。この駅まで田原町方面から福井鉄道の低床車両が乗り入れるために通常の島式ホームの横に低床ホームが作られているのが駅名標の向こうに見えます。
大関駅。麦畑が広がっていますが、最近は福井への通勤圏として宅地開発が進んでいます。
福井駅から乗っているMC6101形(6111)こちらは三国港に向かう後ろ側。ホームには屋根がなく吹きさらしです。
列車交換です。
右側が交換で入線した福井行、京福電鉄時代から1両だけ残るMC5001形(5001)です。京福電鉄で40年ぶりの新造車両として1999年(平成11年)に2両が製造されました。5002は2001年(平成13年)の正面衝突事故で廃車解体されました。
番田駅。単式1面1線、待合室がありました。周囲は畑です。
あわら湯のまち駅でも列車交換。
水居駅名標。外が暗いので車内の蛍光灯が映り込んでいます。旧三国町内で唯一“三国”が冠されない駅です。単式1面1線。
三国神社駅。単式1面1線、近くに三國神社があります。この駅から三国町の市街地が三国港駅まで続きます。横の自販機を見れば分かる様に駅名標が若干傾いています。
終点の三国港駅に到着です。
この駅の歴史は少し複雑です。1913年(大正2年)鉄道院(1908年明治41年に作られた内閣の直属機関、1920年大正9年鉄道省に昇格、1949年昭和24年日本国有鉄道に継承されました)三国線の三国駅構内として三国港荷扱所が開設されます。三国線は金津駅(現・芦原温泉駅)から三国駅までの国営鉄道線。
余談ですが、芦原温泉駅は、1897年(明治30年)鉄道院の「金津駅」として開業しました。1972年(昭和47年)に芦原温泉駅に改称されています。2009年(平成21年)に芦原温泉駅に行った時に跨線橋に付いていた銘板を撮った写真です。金津駅になっています。
1914年(大正3年)三国港荷扱所は三国駅から分離され貨物駅の三国港駅になります。1927年(昭和2年)旅客も扱う一般駅に昇格、1929年(昭和4年)三国芦原電鉄(後の京福電鉄三国芦原線、現・えちぜん鉄道の同線)が開業して三国線と併走する形になりました。1944年(昭和19年)三国線が不要不急線として休止されると京福電鉄は三国線三国〜三国港間を電化して乗り入れを開始、芦原〜三国港間を京福電鉄が営業継続する形になりました。その後も国鉄三国線として復活して、また廃止されるなどの曲折がありましたが、結局京福電鉄が福井から撤退した後、えちぜん鉄道に継承されて現在に至っています。
単式ホーム1面1線ですが側線があります。終端部は見えません。かつては港まで線路が敷かれていたからでしょうか。現在は留置線として使われています。ホームが長いのは鉄道院時代の名残です。
古い木造駅舎は2010年(平成22年)に改修されて綺麗になっています。なかなか風情のある駅です。
駅名標は2種類ありました。
福井側にある眼鏡橋は国の登録有形文化財(2004年平成16年登録)です。
さて、これから福井口駅まで戻り、勝山永平寺線に乗り換えて勝山まで行きますが、【私鉄に乗ろう 14】えちぜん鉄道 三国芦原線〜勝山永平寺線 その2 に続きます。
(写真・記事/住田至朗)撮影は2017年1月です