千代田区外神田。傷だらけのコンテナに山積みされたパーツをあさり、スマホでヤフオク―――。

ジャンク、ジャンク、ジャンク……。実は、ジャンクはもはや、ヤフオクや秋葉原だけのワードじゃない。

日本各地にある、あのすた丼屋もジャンクの領域に足を踏み入れた。しかも、この猛烈に暑い日が続くなか…。

「伝説のすた丼屋」「名物すた丼の店」を展開するアントワークスが、7月1日から2か月限定で販売する、火傷しそうなジャンクな限定品。その名も……。

日本名「すたみなジャンカル丼」
米国名「The junk Spicy Garlic Shortrib Rice Bowl」
中国名「垃圾辣大蒜脆皮飯碗」

梅雨明け、暑い日にこそ激辛すた丼

サブキャッチは、「夏の男の虜メシ」。ジェンダーの世の中、あえて「夏の男の虜メシ」と言い放つあたりが、すた丼流喧嘩上等。

そこにはもちろん、男も女もなく、底辺に流れるメッセージは「夏こそ“ガッツリスタミナ飯”」。

きょう、気象庁が関東甲信地方の“史上最速の梅雨明け”を伝えたタイミングに合わせたのか、たまたまか、この暑い時期に、めちゃめちゃホットで激辛なメニューを、バーン!と出しちゃうあたりが、まさにTHEすた丼。

オフィシャルの解説はこうだ。

「“特製すたみな焼肉ダレ”に漬け込んだ、白米に合う濃い味付けの牛バラ肉を、茶碗約3杯分のご飯の上にのせ、 “旨辛シラチャーマヨソース”をかけた「THE ジャンキー」な丼ぶりです」

アメリカで流行るタイのソースってナニ!?

で、実はこのメニューの発想は、すた丼オリジナルじゃなくて、ア・メ・リ・カ なんだって。

しかも、アメリカで流行っている、タイのシラチャーソースがその激辛を担ってるんだと。

ここまでくると、アメリカなのか、タイか、日本か、わからないっ。そうか! これがジャンクか。

「すた丼屋では、このシラチャーソースに、山椒の利いた特製の“辛すたダレ”とマヨネーズを加え、ピリッと刺激的な辛さとジャンキーな味わいで濃厚なタレと相性抜群の“特製シラチャーマヨソース”を開発」

そうか、ジャンクじゃなくて、ジャンキーね。でも……食べてみると、やっぱりすた丼。すた丼という本線はそれず、まっすぐ熱く走ってるのが絶妙。

すた丼流「熱いものをぶつけてやれ!」

「商品名の“ジャンカル”とは、“ジャンキーカルビ”の略で、牛カルビは中バラ肉と呼ばれる骨に近い部位を使用しており、濃厚な肉の味とジューシーな脂身が特徴です」

「そのジューシーな牛カルビに絡める “特製濃厚焼肉ダレ”には、“秘伝のニンニク醤油ダレ”をブレンドしているため、暑い日でもガッツリといける、すた丼屋ならではの濃厚でコクのある味わいに仕上がってます」

試食してみて、最後にいちおう、「デキる記者」のフリして聞いてみた。「夏に辛いメニュー出すって、食品業界ではデータに裏付けされた定説があるの?」と。

すた丼の答えは、こうだった。しかもドヤ顔で。

「冷たいメニューを出した時代もあるけど、そうじゃないと。暑い日こそすた丼屋が出すメニューといったら、こうでしょ!と」

いつの日も、世の中のトレンドに迎合しないすた丼屋。「伝説のすた丼屋」「名物すた丼の店」を展開するアントワークスの「ウチらしい、熱いものをぶつけてやるっ」という喧嘩上等なイズムに、大汗かいて土下座した。