宮ノ下駅を出発。後方展望です。相対式ホーム2面2線。ガラス上部の汚れが気になります。

ホーム全体です。左奥、大きな三角屋根が特徴の駅舎が目立ちます。アジサイの開花時期には全車指定席の臨時列車が運転され、この駅では10分ほど停車してアジサイを楽しんだり写真撮影もできる様になっています。筆者の実家があった京王井の頭線沿線のアジサイも有名ですが、箱根登山鉄道の沿線は都市部の電車とは違った風情があって、ゆっくり走る登山鉄道から線路の脇に咲くアジサイの花を見るのは格別です。アジサイの時期に撮影に来ても混雑がすごいのでなかなか撮影ができないかもしれません。

宮ノ下駅の分岐はスプリング・ポイントです。通過直後なので定位置に戻っていません。

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すぐに急勾配を登ってゆきます。宮ノ下駅付近だけが平らな印象です。この日は光線の加減か、ガラスの汚れとノイズがヒドイので写真の選択に苦慮しました。

沿線には、国道1号線沿いに旅館が多く並んでいますが、登山鉄道からは見えません。それがむしろ車窓としては良いのかもしれません。紫陽花の季節は「アジサイ電車」になります。

か、と思うと旅館群が見える場所もあります。これだけ温泉旅館やホテルが集まっている場所は、箱根以外にはなかなかありません。

急カーブの後は80パーミルの急勾配。感覚が慣れてしまったのか、どーってことのない勾配に感じてしまいますが、信越本線の碓氷峠が66.7パーミル、ゴムタイヤを履いた新交通システムでも精々が70パーミルなんですから、これはやはりトンデモナイ数値なのです。

箱根駅伝(正確には東京箱根間往復大学駅伝競走)のコースとして有名な国道1号線の踏切。1月2日の往路5区、1月3日の復路6区で選手が通過する時は、登山鉄道は踏切に係員を配置して電車を停車させて踏切を開けます。あまり興味がないので昔から「正月の風物詩」くらいに思っていましたが、電車を停めてしまうのですから、すごいイベントですよね。

踏切を越えると標高523mの小涌谷(こわきだに)駅に着きます。ちょっと不思議なのは温泉「黒玉子」で有名なのは大涌谷(おおわくだに)ですが、駅名は「こわきだに」なのです。読み方の違いですが。

左には、駅伝コースの国道1号線が見えます。

標高が500mを越えました。次は箱根彫刻の森美術館に到着します。

【私鉄に乗ろう95】箱根登山鉄道 その11 に続きます。。

追記:

このコラムは、2019年9月に書かれたものです。御存知の様に、2019年10月12日に関東から東北に上陸した大型で強力な台風19号は、関東甲信越と東北地方に甚大な災害をもたらしました。台風によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

また台風19号は箱根登山鉄道にも甚大な被害をもたらしました。箱根周辺では、1,000ミリを越える前代未聞の雨量が記録されたのです。ニュース映像などを見る限りでは路盤や橋梁などの被害は凄まじい状態です。長い歴史と風雪に耐えてきた箱根登山鉄道が箱根湯本駅と強羅駅間で運休という事態になっています。現在は代行バスが運行されています。

被害に遭われた箱根登山鉄道にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧を心からお祈りいたします。

また復旧などの情報も随時。お知らせいたします。

(写真・記事/住田至朗)