大人の休日倶楽部パスで北海道に来てみました⑤
さて、新十津川から札幌〜旭川と移動して石北本線に乗ろうと思う。上川〜遠軽間が台風の影響で不通になり、9月1日から代行の臨時バスが運行されている。今回はそれに乗ってみようと考えた。
北海道の鉄道が好きだが、この石北本線の上川〜遠軽間は特に好きだ。
この区間は北海道屈指の人口希薄地帯である。
上川から白滝までの駅間は、何と37.3kmもあって、53分もかかる。
この37.3km間に、かつては
・天幕 ー 2001年廃止
・中越 ー 2001年信号場に
・上越 ー 1975年信号場に
・奥白滝 ー 2001年に信号場に
・上白滝 ー 2016年廃止
・・・と5つの駅があった。どの駅も近隣住民が全て居なくなった為に客扱いを止めざるを得なかった、という理由がある。
ついでに書いておくと、白滝と名の付く駅がもう二つあった。白滝と丸瀬布間の旧白滝(2016年廃止)と下白滝(2016年信号場になった)である。
上川側から「奥白滝」「上白滝」「白滝」「旧白滝」「下白滝」と並んでいたが、今は「白滝」だけになってしまった。
ちなみにJR北海道の人からの情報によると旧白滝駅舎は既に解体されてしまったそうだ。写真を撮っておけばよかったなぁ、と後悔する。
普段でも上川からは6:23の網走行と15:46の快速北見の2本しか運行が無い。それ以外は全て特急列車だ。鉄道でカジュアルに出かける、ということは無理だ。
とにかく旭川発16:14の上川行に乗った。高校生が大量に乗っていて立っている人も多い。
石北本線も北日ノ出辺りからグッとローカルな雰囲気になる。駅舎がなく、簡単なホームがあるだけだ。
桜岡も同じような駅である。
当麻で20分停車する。上川から先が不通で優等列車が走っていないので不要なのだが、当然ダイヤは墨守される。乗客の半分近くがここで降りた。
初めて当麻駅の外に出た。古いが立派な駅舎。しかし駅前には何もない。
これは古い駅名標なのかしら。
将軍山もなかなか痺れるシンプルさだ。
屯田兵が入植地を決めるときに陸軍の永山武四郎将軍に因んで付けたので将軍山だそうだ。しかし屯田兵なんて教科書以外では目にしない言葉だなぁ。
伊香牛、愛別と続けて、撮影失敗。
中愛別。上川郡愛別町字中央にあるから、中愛別なのかな。
愛山。愛の付く地名が多い。この駅は1987年までは仮乗降場だった。
周囲に住宅はほとんど見あたらない。
安足間。列車交換が可能な駅だが基本的に上下列車とも駅舎側の1番線に停まる。1984年に無人化。
アイヌ語の「アンタル・オ・マ・プ」(淵のある場所)が転訛したらしい。
いきなり時速25kmに制限される。橋梁が危ない状態なのかもしれない。
覗き込むと、水量は減って澄んでいたが流木が凄い。この中洲も流木で押し流されそうだ。
左側の岸にも大量の流木が所々にかたまっている。
東雲、やはり1987年に仮乗降場から駅になった。周囲に住民が少なく利用者は少ない。
しののめ、と読みたくなるが、とううん。
17:51、上川に到着。17:55発の遠軽行の代行臨時バスが駅前で待機していた。列車から小生を含めて5人が乗り換えた。すぐに発車。なかなか豪華なバスである。しかしトイレは設備していない。JR北海道旭川支社の人が添乗していた。その人によると遠軽から上川までは乗車ゼロだったそうだ。
代行臨時バスはすぐに高速道路にのって走り、途中で高速道路を降りて白滝駅に向かい、5分停車した。JR北海道の添乗員が駅をチェックして出発。
再び高速道路を使い、同様に降りて丸瀬布にも停車。
夜のホームで駅名標が光っていた。
19:35、遠軽に到着。遠軽発の網走行列車に接続。一瞬、乗りたいなぁ、と思ったが網走に着く頃には夜更だろう、と思い留まる。
ホテルにチェックインして飲食店を探すが月曜日は休む店が多いとか・・・。諦めが肝心。だがコンビニも無い。
翌朝、普通に6時頃起きたが、かなり雨が降っているし、ホテルは全館禁煙で落ち着かない。
しかし、ホテルの人に聞いた結果、10時頃に開く(可能性のある)喫茶店が歩いて行ける範囲に1軒だけあるという。やれやれ。
10時になって、傘をさして喫茶店にたどり着く。やっと落ち着いて珈琲を飲みながら昨日の札沼線のコラムを書いた。
13時に遠軽駅に移動。駅で分かったのは稚内が大雨で宗谷本線が不通になっているというニュース。
一応は列車情報をチェックしていたつもりだったのだが、これでまた列車の運休が増える。本日の予定も組み直し。東室蘭に19時頃には着く予定だったが22時近くになってしまうかなぁ。
遠軽駅は北海道では珍しいスイッチバックの駅。1989年に名寄本線が廃止され石北本線だけの駅になっている。ここには使われていない転車台があるのでバスの出発までの時間、見に行くことにした。
久しぶりに来たが変化はない感じ。
一応、線路は繋がっている様だ。
駅員さんは、たぶん動かない、と笑っていた。
時間になって代行臨時バスに乗り、すぐに発車。13:30。乗客は11人。
丸瀬布までは国道を走る。橋を渡る時に川岸が抉られているのがハッキリ分かる。
水量は減って、少し落ち着いた様にも見える。
この間、別の小さな川で異様なものを見た。中洲の様な場所に老婆らしき人物が傘をさして上流に向かってペタンと座っていたのだ。周囲には家財道具の様なモノが置いてあった。川の横に自動車が2台駐まっていたが、老婆以外に人影はない。すぐ後ろの席に座っていた人も見たらしく、添乗のJR北海道の人に伝えた。JR北海道の人は何処かに連絡をしていた。
何れにしても降雨の日にピクニックはしないだろうし、川の中洲に座り込んだりはしない。
この後、降雨がひどくなって丸瀬布駅など撮影できなかった。丸瀬布を出ると高速道路を走る。
少し雨が弱くなった。
石北本線の白滝駅に停車。乗降は無し。
再び高速道路で上川に向かう。
川には流木がたくさん流されている。
別の川では、たった今、文字通り「根こそぎ」倒されて流れてきた、という流木も見えた。根が付いている。
100分で上川に到着。特別快速「きたみ」なら79分なので列車の勝ちだが、各駅停車なら103分かかる。
バスの到着が15:10、旭川行は15:58なので少し時間がある。
ここに線路が敷かれていたのだろうか「列車が来ます ここは通れません 上川駅長」という立札。しかし、そんなに古い様にも見えない。
今年の3月に廃止された上白滝の駅名の上に白滝と描かれた駅名標。
旭川行の列車の改札が始まった。キハ40 7081両編成。
行先票。
ちょうど下校時間なのか、高校生で満員になった。臨時バスに添乗していたJR北海道の人もデッキに立っている。寒冷地仕様なのでキハ40にデッキがあるのだ。
橋を渡る。隣の道路橋、橋脚に流木が引っかかっているのか、特に右側は妙な水流が見える。
やはり川岸が抉られている。
昨日、制限速度が25kmだった橋梁を渡る。水位は下がった様だが、やはり流木倒木が凄い。
中愛別を過ぎてから、この川は水量が多い。流木もある。
愛別。
伊香牛を過ぎて
北日ノ出の待合所を見て、旭川の市街地に近づいてゆく。
17:06、旭川に到着。
当初はオホーツク6号札幌行を考えたが台風でNG。次善の策でサロベツ18号にしたところ昨夜の稚内豪雨で宗谷本線が不通になりこの列車も運休。結局18時発のスーパーカムイ38号札幌行に乗った。幸い自由席に座れた。
19:25、札幌に着いて、20:00発のスーパー北斗24号函館行に乗って、東室蘭には21:19に到着。
駅前の食堂で夕食。そこで何故この数日間東室蘭や苫小牧周辺の宿泊施設が満杯状態なのか分かった。何やら女子プロゴルフの大会が登別だかで行われているらしいのだ。
さて、JR線が災害で不通になった故の代行臨時バスに初めて乗ってみた。特別な感想はない。乗り心地の悪くないバスだったというだけで。
確かな事は「鉄道は鉄道会社自身がインフラを作り、維持しなければならない」が、バスなどの自動車の場合「インフラの整備と管理、維持は国や地方自治体がやってくれる」という点でコストの差が大きく発生する、ということだ。
今回、北海道を襲った台風は甚大な被害をもたらした。森から大沼公園にかけて、線路脇の倒木は凄まじい台風の強風を示していた。
あるいは根室線で顕著な、橋脚の流失など、復旧には長い時間がかかると思われる。単純に復旧費用がかかる上に旅客収入が途絶える事にもなり、JR北海道には厳しい状況が続くだろう。
廃止のニュースから少なからぬ数の鉄道ファンがJR北海道、中でも特に輸送密度の低い路線を巡回していた。同じ顔を彼方此方で見かけたのでメンバーは一定なのだろう。
斯く言う小生もその1人に過ぎないワケだが、まぁ、誰も乗らないよりは、鉄道ファンが乗っているだけでも幾分かマシだろう。
とにかく、雄大な自然の北海道故の凄まじい自然災害に圧倒された。大変だと思うがJR北海道の奮起努力を応援したい。