ナマコ研究40年以上の生物学者・本川達雄さんが、ナマコのふしぎな生態を解き明かす絵本『ナマコ天国』。本川氏は動物のサイズによる時間の流れ方の違いを説いた生物学入門書のベストセラー『ゾウの時間ネズミの時間』(中公新書)の著者。専門のナマコについての絵本を刊行するのは、これが初となります。

哺乳類とはまったく違う、ナマコの不思議な生態

ナマコは棘皮(きょくひ)動物のなかまで、皮のかたさが変化するのが特徴です。やさしくつつくとやわらかく、ギュッとにぎればかたくなり、ゴシゴシこすれば、なんとドロドロに溶けてしまいます。でも、大丈夫。数週間たてば、もとどおりに・・・!

そんなナマコには、目や鼻、耳がありません。心臓、脳もありません。体の半分以上が皮で、呼吸するのはおしり。ゆっくりとなら歩くことができますが、人間がじっと見ていても、逃げもせず、かくれもしません。いったいこれでどうやって、きびしい自然界の中を生きているのでしょうか?

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動物たちはふつう、食べる心配と食べられる心配をかかえて生きています。ところがナマコは、みんなとまるでちがう道を選ぶことにより、この2つの心配をみごとにクリアしたのです。それを楽しく、わかりやすく解説したのが本書の山場であり、最後まで読むと『ナマコ天国』というタイトルの意味がよく腑に落ちます。

別名「歌う生物学者」の異名をもつ本川達雄による「ナマコ天国」「超人!? ナ・マーコ」の楽譜付

本川達雄氏は「歌う生物学者」として知られ、自身の研究テーマをさまざまな自作の歌にして披露しています。この絵本では、「ナマコ天国」と「超人!? ナ・マーコ」の2曲の楽譜をつけました。歌えばナマコの特徴をすぐにつかむことができる歌詞で、学びも詰まっています。

《書誌情報》
書名:ナマコ天国
作:本川達雄
絵:こしだミカ
定価:1600円+ 税
対象:6歳から
サイズ:28cm×22cm
ページ数:44ページ
ISBN コード:978-4-03-437270-8
発売日:2019年5月20日
版元:偕成社

偕成社Webマガジンに本川先生のナマコに関するインタビューがあります。


ナマコは酒の肴、という認識が変わります!