地形文字から東京の地形を知り、それぞれの場所の奥深さを楽しむスタンプラリーの都営バス時間旅行へ―――。

都営バスで始まったデジタルスタンプラリー「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」(https://project-toei.jp/chikei/)がいまおもしろい。そのイントロダクションが、これ↓↓↓

「1万年前、関東平野の一部は海でした。長い歳月を経て陸となり人が増えていきます。人が暮らすところには名前がつきます。都営バスの停留所にも様々な地形を表す名前がついています」

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「四「谷」駅 停留所、溜「池」停留所、羽「沢」停留所、「野」方駅北口停留所、 東品「川」一丁目停留所、白金「台」五丁目停留所…。地名は様々な事情で生まれ、必ずしも地形由来の文字があるからその土地がそうであるという訳ではありません」

「でも「水の都」と呼ばれた江戸の名残なのでしょう。バス停名に潜む語句を数えると下の一覧のように水にまつわる言葉が多いことに気づかされます」

「そこで都営交通では、そんな都営バスのバス停名に潜む地形由来の文字を集めるスタンプラリーを開発しました。川がないのになぜ川の文字があるのか。山ではないのになぜ山の文字があるのか。ぜひあなたもこの機会に「地形」目線のバスの旅に出かけてみませんか」(東京都交通局)

そこで、「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」ってなに???って人は、前回の記事をチェックしてみて↓↓↓

いま「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」がめっちゃおもしろい!
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―――そんな「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」に開発に関わった荒俣宏が1月16日、「東京の地形と江戸文字の趣」と題したトークショーに登場。その内容が、また痛快でおもしろい↓↓↓

高い地を削って低いところを埋める、水が出る地が栄えた

「東京の地形は、時代を経てそうとう変わってきている。わたしは上野の下谷ってところで生まれ育ったんだけど、にんべんに谷で俗。俗人たちはだいたい下の方に住んでいる。いっぽうっで、台地をつくる山をみると、にんべんに山は仙。仙人は高いところにいる。だいたいそういうふうになっているのね」

「オリジナルな地形でいうと江戸は、古い地域の台がつくところと、まったくの低地である下町がくっついている地で構成されている。この境界線は、山手線に乗っているとわかる。上野のあたりは一番わかりやすい。山手線の内側は台地になっていて、外側は低くなってるでしょ。

「海側のほうの低いところは川が泥を運んでできたところ。1万年前ぐらいに人間が歩けるようになったんじゃないか。いっぽうで武蔵野台地は何十万年も前からがっちりできていた。しっかりした台地になっている。東京は硬い土壌と柔らかいのがくっついている」

「秀吉がなるべく手間がかかるところに家康を行かせた地が、江戸。江戸は家康が大改造した。最も変わったのは高いところ。崖のままじゃ街がつくれないから、高い地を削って低いところを埋める」

「そして大事なのは飲み水。低い地は水を確保するのがたいへん。いろいろ探すと、日本橋や銀座に水が出たんですよね。昔から名水の場所だった。白木屋というデパートの下は『白木屋の名水』ってのがあった。銀座もいい水がたくさん出た。そうした水が出る地が栄えた」

このラリーで東京の地形を透視できる

「高いところを削って埋めて、明治以降は手法は同じで、海にまでどんどん進出していった。そんな地にできた街が、月島とか。有明など歴史のない地が現在に至っている。そして川の流れがいまと全然違う」

「利根川は千葉の方に流れているけど、むかしは江戸湾に流れていた。隅田川もそう。ちょっと雨が振ったら大災害になるから、川の流れも変えたんだよね」

「一番大きい川を直接、太平洋に流しちゃうおうと。いまじゃ考えられない大工事を、数年から数十年の間にやりましたから。いまの東京五輪に関わるゼネコンどころじゃない。とんでもない土木工事の全盛時代だった」

「駿河台なんてもっとすごい山だった。いまは坂道だけど。あのあたりは高いところに池がやたらにあった。だからこの周辺に〇〇池という地名がいろいろあるでしょ。池袋もそう。不忍池クラスの池がいっぱいあったんだよね」

「池とか沼っていう地名は、その名残。沼袋もそう。神田にはお玉ヶ池という池があった。坂も多い。高いところと低いところをつなげるのが坂。地名に坂がつくところも、東京にはいっぱいありますよね」

「今回の『都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS』をやってみると、水や谷、台、坂といったキーワードがカギになる。こうした文字から東京の高低差がわかってくるとおもしろい。このラリーで、東京の地形を透視できる人たちが増えるんじゃないか」

車内無料Wi-Fiと都バス一日乗車券でいますぐトライ!

こんな感じで、荒俣宏が熱く語る東京の地形と江戸文字を、スマホと都営バスで体感するのが「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」。

「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」は、まずスマホで https://project-toei.jp/chikei/ にアクセス。

GPSをオンにし、最寄りのバス停から都営バスに乗ってスタート。

地形由来の文字が名称に含まれるバス停を通ったら、画面をタップ。江戸文字が手に入る。

そして地形由来の江戸文字が手に入るごとに、藤森照信・荒俣宏の地形コラムが読める。地形文字から東京の地形を知り、それぞれの場所の奥深さを愉しむスタンプラリーってわけ。

1月16日には、荒俣宏や東京都交通局 吉浦宏美 課長(写真)といっしょに、都営バスに乗って実際に「都営バスで巡る 地形テキストラリーGPS」にトライ。

「都バス一日乗車券」(大人500円、小児250円)が便利だよ。しかもすべての都営バスに車内無料Wi-Fi「Toei Bus Free Wi-Fi」が入ってるから、パケットも気にしないでラリーに集中できるよ。

実施期間は2月29日までだから、気になる人はスマホのGPSをオンにして、都営バスに乗ってさっそくトライしてみて。

写真 文:鉄道チャンネル