【札幌市電 古今東西車両紹介(3)】 総数16両を誇る札幌市電の顔「250形・8500形・3300形」
札幌の路面電車は「市電」と呼ばれ、長らく市民に親しまれています。1972年(昭和47)年に札幌で第11回冬季オリンピック開催が決定したことにより地下鉄建設が開始。市電は大幅に縮小され、一時は全線廃止も検討されましたが、2005年(平成17)年に市電路線の存続が決定したことにより、2015年にはすすきの~西4丁目が延長されました。市内約9㎞を60分ほどかけて一周しています。現在6車種が定期運行するほか、積雪時には除雪車が登場するなど、観光資源としても注目されています。今回は市内で見かけることが多い「250形・8500形・3300形」の3車種を紹介します。
現行車最大の総定員数を誇る「250形」
250形は札幌市電初のボギー台座である500形の電気部品を流用して製造された「北海道産」の車両です。当時は札幌市と豊平町(現在の豊平区・清田区の一部)が合併するなど人口増加が始まり、大量輸送が求められていたことから、座席定員は210・220・240形と同じ28人ながら、全長が長いため総定員は10人増えて110人となりました。昭和36(1961)年に製造された5両が現役で活躍しています。
アルバイト探しの力強い味方「251号」
現在アルキタ(アルバイト北海道)のラッピングが施されている251号は、かつてキュラーズの広告を担当した経歴を持っています。
ピンクを纏ったビッグなヤツ「254号」
フロントマスクが特徴的「255号」
ライトを目に見立てたユニークなデザインは、ニチレイのラッピングです。丸い車体を活かして個性的なアレンジができるのも250形の魅力です。
おニャン子ブームにデビュー「8500形」
1985年に新造された車両で、エッジの効いたデザインが取り入れられました。車名は製造が開始された末尾を取って8500形とされています。1985年はフジテレビ系列で「夕やけニャンニャン」が放送され、日本中におニャン子ブームが巻き起こりました。あれから35年経った現在も6両が運行されています。
チョコレートが食べたくなる「8502号」
8502号はガーナミルクチョコレート仕様になっています。角ばった8500形のデザインが板チョコのパッケージのよう。とてもおいしそうですね。
基本色の飾らないヤツ「8512号」
かつてはM100形のようなクリーム地にグリーン濃淡の塗装でしたが、現在は明るいグリーンが基調となっています。8511号がビッグ、8512号がニッカウヰスキーの広告車両になっていたこともありました。
20世紀末にデビュー「3300形」
1998年から製造が開始された車両で、車体の窓を大きくした開放感のある室内が特徴的です。3301号は側窓が内開き式ですが、それ以降の車両は横引きに変更されています。3300形は5両が運行されており、3302号は冬期間、ボーカロイド・初音ミクの雪まつりバージョンの「雪ミク電車」として活躍しています。
市電グッズを手に入れよう!
札幌市交通局では、市電や地下鉄のグッズを販売しています。今回紹介した車両では、250形の箸(500円)、8500形のキッズくつした(350円)、キーホルダー(300円)、電コロ(800円)がラインアップしています。全品、地下鉄大通駅西側コンコース内の札幌市交通事業振興公社総務部事務所で販売されるほか、通信販売も行われています。この機会に購入してみてはいかがでしょうか。
文/写真:吉田匡和