新型新幹線N700S 写真:東芝インフラシステムズ株式会社

東芝インフラシステムズは9日、同社の独自技術を使った製品が東海道新幹線車両「N700S」に採用されたと発表した。自走用バッテリー装置、電源装置に加え、SiC素子を使用した主変換装置、車両伝送システム、保安装置などを40編成の車両に納品予定。

「N700S」は東海道新幹線では13年ぶりのフルモデルチェンジとなる新幹線車両。JR東海は自然災害発生時などの長時間停電時においても、大容量のリチウムイオンバッテリにより橋梁やトンネルから安全な場所まで移動できる「バッテリー自走システム」を一つの特長としている。

東芝インフラシステムズは同社グループのリチウムイオン二次電池「SCiB」を用いて、JR東海と共同開発したバッテリー自走システムを納入。2018年に納入した「N700S」確認試験車と比べて2倍の電池容量を搭載し、 自走可能距離の機能向上を実現したほか、一部トイレへの電源供給も可能となった。

自走用バッテリー装置 写真:東芝インフラシステムズ株式会社

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“「SCiB」は、高い安全性、1万回以上の充放電が可能な長寿命、-30℃の環境下にも耐え得る低温度動作などの優れた特性があり、特に安全性においては、外圧が加えられて内部短絡が生じても異常発熱や発火を起こしにくい構造となっています。このリチウムイオン電池を使用した蓄電池システムで、鉄道車両に要求される欧州規格EN50126(RAMS※1)およびRAMSの安全性(Safety)に関するEN50129の認証をSIL4※2(最高水準)として世界で初めて取得しています。”(同社リリースより抜粋)

※1……RAMS(Reliability Availability Maintainability and Safety)信頼性,有効性,保守性,安全性の仕様と実証
※2……SIL4(Safety Integrity Level 4)1時間当たりの危険側失敗の平均頻度 1×10-8 未満の水準

同社は今後もデバイスからシステムまでの一貫した自社開発を進め、高効率化と小型化を両立する駆動システムを国内外へ展開していく。

鉄道チャンネル編集部