JR各社や私鉄で始まっている、宅配便を旅客列車で運ぶ、貨客混載輸送の試み。JR貨物の輸送とどう違うか。JR貨物はどうみているか―――。

JR西日本は1月29日から、伯備線 普通列車で「在来線普通列車を活用した荷物輸送」を実証実験する。

晴れの国岡山農業協同組合(JA晴れの国岡山)とヤマト運輸と連携し、伯備線 普通列車(定期列車)で地域農産品を輸送し、駅ナカ店舗販売することを検討していく。

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備中高梁駅を14時27分に出る普通列車内 客室スペースに配送ボックスを積み荷物輸送。岡山駅に15時19分に着き、荷物を積み下ろし、駅ナカ店舗で販売するイメージ。

今回は、こうした荷物の流れのなかで、電車での輸送の安全性確認を実証実験。次回は、地域と連携した農産品輸送や、販売を実験し、駅での農産品販売ニーズについて調査する。

北海道新幹線に佐川急便の荷物が載る

青函トンネルを通る北海道新幹線に佐川急便の荷物を載せて運ぶ実証実験も1月21日から始まった。

荷物の流れは、佐川急便函館営業所(13km:トラック)北海道新幹線 新函館北斗駅(149km:北海道新幹線)新青森駅(4km:トラック)佐川急便青森営業所を結ぶ、トラック・新幹線・トラックの連携。

佐川急便は、北海道・本州間の輸送ネットワークの効率化を図り、配送品質を向上させたい構え。これまでより短いリードタイムの輸送をめざす。

JR北海道は、北海道新幹線を有効活用できることからこの貨客混載実証実験に参画した。

両社は今後、北海道新幹線 新函館北斗~新青森駅で、客室内へ宅配便荷物を収納した専用ボックスを積載しての輸送を検討する。

JR貨物も「新幹線での貨物輸送というビジョンはある」

旅客列車で荷物を運ぶシーンが定着すると、JR貨物の仕事がなくなる? とも思う。

JR貨物は「宅配業などによる小口荷物と、大量輸送ニーズの貨物とは少し違う。むしろ、トラックドライバー不足やCO2排出という課題をいっしょに解決できる策として、鉄道へのモーダルシフトとして、いっしょに取り組みたい」と教えてくれた。

また、JR貨物としても「新幹線を活用した貨物輸送について前向きにビジョンを構想している」とも伝えていた。

1月8日に公表したJR貨物グループ長期ビジョン2030には、「物流イノベーションや既存鉄道インフラの有効活用(人流・物流の一体化による鉄道事業の持続性向上)として貨物新幹線の検討を推進」というメッセージも記されている。