※2020年12月撮影

トップ画像は、JR東日本東北本線紫波中央駅。2001年完成の木造駅舎には地元・紫波町の木材が使われています。駅舎は紫波町の施設。駅は1998年3月14日開業。とにかく木にこだわった素晴らしい駅舎。待合室の梁は樹齢120年のアカマツです。

池口英司さんの『大人の鉄道趣味入門 人生の後半を楽しむための兵法書』(交通新聞社新書/2019)の第四章が続いています。

鉄道×俳句・詩~短い言葉のウラを旅先で~。

これは斬新な視点ですねぇ。鉄道と俳句を結びつけて考えたコトありませんでした。言われてみれば駅前に歌碑・句碑などがある駅もあります。音楽家のケースと同じで俳人の足跡をたどる鉄道旅です。

※2020年9月撮影

俳人の旅と言えば、まず松尾芭蕉の「おくのほそ道」です。スタートは隅田川畔の芭蕉庵。

草の戸も 住み替はる代ぞ 雛の家

日光、大田原市黒羽、那須と芭蕉を追って旅するのは楽しそうです。

「呑み鉄」の大先輩芦原伸さんの著作に『鉄道おくのほそ道紀行 週末芭蕉旅』(講談社/2009年)があります。これは青春18きっぷを使って芭蕉の足跡を追い、名句が読まれた現場に、松尾芭蕉が俳句を詠んだその日に立つという凝った内容です。小生の書架にもあります、この本もオススメの一冊です。

※2020年12月撮影

さらに正岡子規の松山、金子みすずの仙崎が取り上げられています。仙崎駅は山陰本線の支線、盲腸線の終端駅なので小生も訪ねています。木造駅舎も素晴らしいですよ。

続いて「鉄道×小説~物語の舞台に立つ喜び~」です。夏目漱石の『坊っちゃん』に因む伊予鉄道『坊っちゃん列車』。川端康成『雪国』の上越線。

松本清張、著者池口さんは『点と線』を俎上にのせていますが、小生は『砂の器』でJR西日本木次線亀嵩駅に行って手打ちそばを食べました。

アガサ・クリスティーも取り上げられています。ポワロって、ネギでしたね。

※2020年12月撮

そして「鉄道×映画~貴重な走行記録でもある鉄道シーン~」です。

映画でまず思うのは鉄道車両の走行シーンです。そして駅や車内の様子なども映像ならではの記録として貴重なものがたくさんありそうです。

著者池口さんは、まず1969年から公開が始まった『男はつらいよ』48作から語り出します。小生も寅さんシリーズは全国各地の「昭和の姿」を見ることができるのでコレクションしています。

また日本初のカラー映画作品『カルメン故郷に帰る』(1951年)には、今はなき草軽電鉄の走行シーンが記録されています。この作品もDVDで購入して所持しています。

鉄道と映画のカップリングについては川本三郎さんの『小説を、映画を、鉄道が走る』(集英社文庫)が参考になります。ここに小生が紹介していました。

※2020年12月撮

他に、池口さんの紹介している作品。2010年公開の『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は、一畑電気鉄道が映画の舞台になっています。シリーズ第2弾『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』も2011年に公開されました。こちらの舞台は富山地方鉄道。さらにシリーズ第3弾『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』も2018年に公開されています。

小生は第3弾を観ていません。観なくちゃ。

何と第四章、まだ続きます。さて何が登場するかな。

(写真・文/住田至朗)