JR東海は2021年度、連結7,480億円、単体7,220億円の設備投資を行う。

鉄道事業においては、安全・安定輸送の確保や輸送サービスの充実、リニア中央新幹線計画の推進、「エクスプレス予約」及び「スマートEX」のさらなる利用拡大など、様々な重点施策が挙がる。本稿では新幹線・在来線に関する投資計画を取り上げる。

東海道新幹線「N700S」は13編成投入

輸送サービスの充実として、JR東海は「のぞみ12本ダイヤ」の活用による十分な輸送力の提供を挙げる。東京オリンピック・パラリンピックの開催も見据え、適切な列車設定を行うという。

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昨年デビューした新型車両「N700S」は、年度内に13編成投入する。元々は14編成投入予定だったが、新型コロナウイルス感染症による厳しい経営環境を踏まえて変更が加わったかたちだ。

既存の「N700A」には「N700S」の一部機能を追加する改造工事を実施、さらなる安全・安定輸送の確保のため、地震ブレーキ距離の短縮(※)、状態監視機能の強化、信頼性の向上を図る。また異常時通話機能の改良や、トータルコスト削減のための部品の長寿命化も行う。

※「N700S」はATCとブレーキシステムの改良により、「N700A」と比べて地震時のブレーキ距離が5%短縮されている。これを「N700A」に搭載する。

なお、4月中旬より投入する「N700S」には車椅子スペースが6席設置されており、「EXサービス」で車椅子対応座席の予約の試行を行う。

在来線用新型「315系」は56両投入

在来線では年度内に新形式の通勤型電車「315系」を56両投入。これにあわせて輸送サービスの向上および効率的な輸送体系の構築を実現するダイヤ改正の準備を進めるという。

「315系」は同社の在来線車両としては初めて非常走行用蓄電装置を搭載しており、停電時などでも最寄り駅まで走行できるなど、安全性・安定性や快適性の向上した車両となる。

ハイブリッド方式を採用した次期特急車両HC85系も、量産車の新製に向けた設計などの諸準備が進行中。JR東海は2022~2023年度にかけて、HC85系を64両投入。試験走行車4両も量産車仕様に改造する。

鉄道チャンネル編集部