琴電のレトロ電車に乗車して大名行列を見る

琴電・町歩きツアー点描。レトロ電車と仏生山大名行列のワンシーン

トップに紹介されたのは、新潟県の三セク・えちごトキめき鉄道の「直江津駅扇形機関庫を中心とした魅力創出推進事業」です(タイトルは適宜簡略化しています)。しかし、トキ鉄の鳥塚亮社長はトークセッションに登壇したので、報告は後編に回し、まずは「公共交通機関・ことでんの電車で行く町歩きツアーと仏生山大名行列」。香川県高松市の旅行会社・穴吹トラベルが、2020年11~12月に催行しました。

琴電(以下、漢字表記します)は、鉄道ファンにおなじみの香川県の地域鉄道。ツアーは穴吹トラベルを中心に、高松琴平電気鉄道(琴電)と、仏生山地区コミュニティ協議会、仏生山大名行列運営委員会、仏生山観光協会、仏生山まちプランニングルームの地域観光・街づくり団体が共同企画しました。

ツアーの目玉は、琴電レトロ電車の貸切乗車。2020年秋に4両が在籍していた琴電のレトロ車は、いずれも戦前生まれ。引退が迫っていました。普通に走らせたのでは、鉄道ファンが殺到して〝三密〟になってしまう。そこでツアーは、参加者を10人(車両定員は96人)に限定して、感染拡大を防止しました。

ADVERTISEMENT

もう一つのポイントは「仏生山大名行列」の見学。初代高松藩主の松平頼重が菩提寺の法然寺に参詣する様子を再現した秋のイベントですが、2020年はコロナのため中止。そこでコミュニティ協議会、大名行列運営委員会、観光協会などはツアー客のためにメンバーを30人程度に絞った〝ミニ行列〟を再現。あわせて、AR(拡張現実)も活用しながら、参加者が迫力いっぱいの写真を撮影できるように工夫しました。

鉄道ファンは祭り好き――の定説はありませんが、レトロ電車と大名行列に参加者は大満足。ツアーは、観光客の眼を高松市内中心部から、郊外に向けさせるきっかけにもなったようです。

余談ですが、琴電の検車区や車両工場は仏生山にあるので、その点も鉄道ファンの心に刺さったかもしれません。事業は、2年目の2021年度も継続されます。