JR東日本は2021年11月4日、コロナ禍が朝の通勤時の山手線駅の利用状況に与えた影響について発表した。

利用者が改札を通過した時に記録されるSuicaのデータを活用し、個人情報が識別されないよう統計処理・分析した。対象とした時間帯は朝の7時~10時で、利用者数や性別、駅タイプごとの違いなどから、次のような調査結果が得られた。

・東京中心部に通勤する利用者はコロナ前の50~70%ほど
・30代~40代が最も通勤を控える傾向
・オフィス駅での減少率が高く、商業駅では低め
・朝のピーク時間帯はオフピーク時間帯より減少率が高い

通勤利用者数と新型コロナウィルス感染者数の推移(山手線全駅)

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グラフは山手線全駅の平日朝7時~10時のSuica改札出場数を合計したもので、コロナ前の2020年1月20日を100%として指数化した。

緊急事態宣言1回目(グラフ左側の薄橙色で塗られた期間)の通勤利用者数ははおおむね30~40%程度、その後は感染状況等により波はあるものの、コロナ前の50~70%で推移している。

性年代別の状況(山手線全駅)

次は性年代別の通勤状況。2021年7月と、2020年1月および2021年1月の駅利用状況をそれぞれ比較した。

男女とも30代・40代が通勤を最も控えており、若年層よりシニア層の方が減少率は少ない傾向にある。また7月の回復状況を見るに、シニア層ほど回復傾向にある。

朝通勤時間帯(7時~10時)の利用者数(山手線主要駅)

朝通勤時間帯の利用者数を駅タイプごとに見てみると、「オフィス駅」では特に減少率が高く出た。最大は「品川駅」で、2021年1月に57%、7月に52%と朝通勤時間帯の利用者数が半減している。「新橋駅」「東京駅」も同様の傾向。

逆に「池袋駅」など山手線の西側に多い「商業駅」ほど減少率は控えめだ。これらの駅利用者には小売・飲食などの店舗従業員が多い。

山手線主要駅の分析。駅は「住宅」「オフィス・工場」「商業」「観光」「学園」の5つの指標で特徴づけた。これらもSuicaデータの定期券や都度利用から分析・判定している。
朝通勤時間帯7時~10時のうち8時~9時をピーク時間帯、それ以外をオフピーク時間帯として利用者数を調査。「渋谷駅」を除き、ピーク時間帯はオフピーク時間帯よりおおむね減少率が大きく、出勤時間をずらす傾向が見られた。
通勤回数の変化(東京駅利用者)

通勤回数については「2020年1月に東京駅着の定期券を利用していたお客様のうち、2020年10月も同区間を朝通勤時間帯に利用しているお客様」を対象に分析した。

同区間定期券を引き続き利用した方が9割ほど。定期券を購入せずに同じ区間を都度利用する方の利用回数は月1~5回程度で、定期券を買った方が割安になる「月16日以上」都度利用した方はほとんどいない。

画像:JR東日本
記事:鉄道チャンネル(https://tetsudo-ch.com/