eスポーツジム、オンラインツアー付き弁当、アトツギソン コロナ禍ばん回の鍵は新規事業にあり 各社の挑戦を見る【コラム】
郷土料理とオンラインツアーで出雲への旅気分

続いては、コロナ禍の新しい旅のカタチ、オンラインツアー(シェア旅、リモート旅とも)の新機軸。JR東日本グループで、新宿、大宮などで駅ビルを運営するルミネは、地方の食材とオンラインツアーをセットにした新タイプの弁当「聴いて旅する幕の内 おととめしmeets出雲」を、期間限定で発売しています。
ルミネがコロナ禍の2020年に始めたのが、オンラインツアー「旅ルミネ」。新潟県佐渡島や群馬県中之条町への仮想の旅を催行しました。2年目の新商品が「聴いて旅する幕の内 おととめし」。2021年5月の山形県最上編に続き、10~11月に島根県出雲編を企画しました。
幕の内弁当は、料理研究家の三原寛子さんらが考案。出雲の郷土食のちらしずし「すもじ」をアレンジし、干しアナゴの燻製や出雲産ショウガで炒めたインゲン、カブの古漬け、ニンジンとビーツのマリネなど彩り鮮やかに添えました。

包装紙のQRコードで旅サイトにアクセス
オンラインツアーで面倒なのは、旅サイトへのアクセスですが、新しい弁当は包装紙に2次元QRコードを印刷。スマートフォンで読み取るだけで、出雲の画面が現れ旅気分に浸れます。
ツアープログラムは、FM放送局やラジオドラマ脚本家が共同で制作。神々の国の神社境内に響く音やシジミ漁の音、現地の人の声などが約20分の朗読劇としてスマホから流れます。
弁当はルミネ大宮であす2021年11月21日まで、その後ルミネ北千住で11月24日から30日まで販売されます。ちなみに、出雲はJR東日本のエリア外ですが、鉄道ファンには説明不要の夜行寝台特急電車「サンライズ出雲」が東京ー出雲市間を直結します。ルミネや島根県の地元は、もちろん来訪に期待します。
三浦半島の中小企業 跡継ぎや新商品のヒントを探る
ラストの京急・アトツギソンは、「アトツギプロジェクトin三浦半島」が正式名称。神奈川県横須賀市、葉山町と組んだ地域振興イベントです。「中小企業を応援し、三浦半島を盛り上げる」が合い言葉。アトツギソンは跡継ぎやマラソンからネーミングしました。

開催は2021年11月5~7日の3日間。家族経営の中小企業は世にゴマンとあるわけですが、子どもが跡を継ぎたがらなかったり、事業そのものの見直しが必要といった課題も多く、専門家がアドバイスしたり、協業のパートナーを見付けるのがアトツギソンです。
京急が主催者に名を連ねたのは、もちろん沿線の活力アップが目的。当日の様子を事務局の横須賀市経済部に聞いたところ、地元の中小企業や飲食店と、スタートアップ企業との間で活発に情報交換。横須賀市内の飲食店がプロ仕様の設備を導入して冷凍食品製造に乗り出すなど、新規事業のタネがしっかり根付いているようです。
記事:上里夏生