eスポーツジム、オンラインツアー付き弁当、アトツギソン コロナ禍ばん回の鍵は新規事業にあり 各社の挑戦を見る【コラム】
赤羽岩淵駅を「eスポーツ駅」に
少し前の有楽町線延伸でも話題になりましたが、東京メトロの収入のシェアは鉄道事業88.0%、関連事業11.9%で、他の鉄道事業者に比べ関連の割合が低いのが特徴です。メトロの路線は多くが地下を走るため、一般の鉄道会社のように地上に駅ビルを建てにくい環境にあります。
eスポーツ参入のきっかけは、2019年度に実施した「Tokyo Metro ACCELERATOR(東京メトロアクセルレーター)」。新規事業のパートナーを見付けるプログラムで、eスポーツ教育事業を展開する東京のスタートアップ(ベンチャー)企業・ゲシピへの資本参加が決まりました。
eスポーツ事業の市場規模は専門出版社の調べで、2018年に48億円だったのが、2021年は推計86億円、2024年には184億円を見込みます。世の中にはeスポーツ専門学校やeスポーツカフェもあるよう。東京メトロは、限られたスペースで事業展開できる点などを評価して進出を決めました。
第1号店の「eスポーツジム赤羽岩淵店」は、コロナで予定より遅れましたが、2021年6月28日、東京都北区の南北線赤羽岩淵駅隣接地に開業しました。47平方メートルの店内には、ヘッドセットの付いた12台の専用ゲーミングパソコンが並びます。

紹介のところで書き忘れましたが、eスポーツは対戦型ゲームというのがゲームセンターとの違い(ゲームセンターにも、もちろん対戦型ゲーム機は数多くあります)。スポーツとして勝敗が付き、老若男女を問わず楽しめチームを組めます。
森井さんは、「世界規模で人気を集めるeスポーツを普及させ、東京の魅力を高めたい」の思いを語りました。鉄道事業との関係では、ジムでのeスポーツ教室開催で移動需要が創出できます。「近い将来、赤羽岩淵駅を『eスポーツの駅』として定着させたい」と夢を広げます。
一心不乱にゲーム……ではなくスタッフとのコミュニケーション求める
赤羽岩淵店開業から4ヵ月、来店客の客層などから「ベテランより小中学生が多い」、「常連客の満足度は高い」、「来店客はスタッフとのコミュニケーションを求める」といった傾向が分かってきました。
「ゲーム機に無言で向き合い、ひたすらバーを操作する」というのは、私のようにeスポーツを知らない人の誤解。例えは適切でないかもしれませんが、東京オリンピックで日本選手が活躍したスケートボード、元は遊びだったわけで、東京メトロの新規ビジネスが定着すれば、やがて「メトロのジムからメダリスト」が誕生するかもですね。
赤羽岩淵店のスペックは、営業時間平日15~22時、土日曜日と休日11~23時。ゲームは「リーグ・オブ・レジェンド」、「ぷよぷよeスポーツ」など5種類。東京メトロの冠大会などの構想もあります。
ちなみに、鉄道事業者によるeスポーツ施設の先行例としてはJR東日本グループのJR東日本スポーツが2021年1月、JR松戸駅に開業した「ジェクサー・eスポーツステーションJR松戸駅店」があります。
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