「えーと、前橋から上野まで」

「えー自由席1580円です」(ジジジジジジービリッ)

久しぶりにレシートタイプの自由席特急券を車内で購入した。むかしからある特急券の買い方だけど、こうした在来線特急も、いつ姿を消してしまうかわからない。

ということで、いま乗っておきたい東京圏の在来線特急に注目。今回は、特急 草津。

12月に新前橋から上野まで、特急 草津 4号に乗ってみると、「もっと乗っておきたい」と実感する。

特急 草津 4号 3004M は、長野原草津口を 15:43 に発ち、山岳地を行く吾妻線・上越線の坂道を下り、高崎線で都心へとむかう列車。

車両は、常磐線 特急ひたち を担ったタキシードボディ、651系1000番台。大宮総合車両センターに所属する7両編成。

車内のシートは、社長が座るソファのように、深くまで沈み込むどっしりした感じ。

シックな室内のつくりや、客室灯の微妙な暗さ、重厚な走りなどをとっても、特急列車の風格はまだまだ色褪せていない。

温泉シーズンに入ったといっても、平日の上り特急 草津 4号には、旅行客の姿はまばらで、こちらといっしょに出張帰りの自由席車内精算系や特急チョイ乗り客がほとんど。

新前橋や高崎からも客が乗ってきて、高崎からやっと乗車率4割に達したような感。

それでも、タキシードボディが走る高崎線の特急は、なくならないでほしい。もっと乗ってその快適さ、楽しさ、速さ、懐かしさを体感しておきたい。

上野~高崎の間は、新幹線とき・たにがわ の自由席特急料金が2830円。特急 草津のほうが自由席特急料金は1250円安い。

同区間の所要時間は、特急 草津がほぼ1時間20分。新幹線とき がだいたい50分。30分の差はあるけど、在来線 特急の乗り味を30分多く楽しめれば、これもあり。

―――新幹線と並走する、数少ない在来線 特急。いつまでも末永く元気で走ってほしい。