JR東海は新幹線のレールをメンテナンスするレール削正車を更新。現行のスイス スペノ・インターナショナル社製2編成を、同社製の最新モデル2編成で置き換える。

スペノ社製 新型レール削正車は、1編成目が2023年1月に、2編成目が2023年5月、浜松レールセンター(静岡県浜松市)に入る見込み。設備投資額は約72億円。

レール削正車は、車体下部に高速回転する複数の砥石を搭載した大型の保守用車。速度5km/hほどの低速で走りながら、レール表面を削っていく。新幹線区間は、列車が走らない夜間帯にレール削正車でレールを削っている。

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こうしたレール削正車を入れるのは、列車がレール上を繰返し通過すると、レール表面に疲労層が発生し、傷が生まれやすい状態に変化していくのをメンテナンスするため。

疲労したレールは、レール削正車で定期的にレール表面を削り、疲労層を削り取ることで、傷を予防し、レールの寿命を延ばせる。

今回のスペノ社製 新型レール削正車の特長は大きく3つある。

レール削正能力向上で、10年間約2億円のコスト削減

現行の車両では、砥石の圧力と角度を工程終了ごとに調整する必要があるため、1区間の作業につき4工程(2往復)が必要。

2023年から導入する新型レール削正車は、レール断面を測定し、その形状に応じて砥石の圧力と角度を自動的に調整する「削正支援システム」を国内で初めて搭載。

砥石の個別調整機能を追加したことで、各工程の途中で砥石をきめ細かく自動調整することができ、1区間の作業が3工程(1.5往復)に短縮される。

これにより、1日に削正できるレールの距離が伸びることで、これまでより傷の発生を予防でき、傷に起因するレール交換が減少。

その結果、交換されるレールが年間約15t削減され、10年間で約2億円のコスト削減につながる。

砥石の個別停止機能で廃棄砥石を年間約5t削減

現行のレール削正車では、レール内方用砥石は個別に停止することができないため、作業前に新品に交換している。

こうした交換は、擦り減って交換限度に達した砥石で削正すると、こんどはレールを傷つけてしまうことから。

今回導入する新型レール削正車は、作業中に交換限度に達した砥石を検知し個別に停止できる機能を搭載し、作業後に必要な砥石のみを交換できるようになる。

その結果、砥石の廃棄量が年間約5t削減され、10年間で約7億円のコスト削減につながる。

レール削正車故障時の復旧性能がアップ、営業列車運行リスクを低減

レール削正車に故障が発生したさい、運転台に詳細な故障内容が表示されるようになる。

故障内容を把握して迅速に処置を講じることで、速やかに復旧でき、始発列車の運行に影響が生じるリスクを低減できる。