名店の味を気軽に、冷凍ラーメン自販機が全国へ

JR二条駅に設置されたラーメン自販機(画像はJR西日本プレスリリースから)

最後に「冷凍ラーメン」の話題を少々。コロナ禍で気軽にラーメン屋にも行けやしないという状況の中、鉄道駅に「冷凍ラーメン」の自販機を設置するケースが増えています。

たとえば東京メトロは2021年11月、南北線飯田橋駅改札内にグルメ冷凍自動販売機「FROZEN24マート」を設置。これは「お家で楽しめるお店の味」をコンセプトとしたもので、様々な冷凍食品を販売できる仕様となっていますが、滑り出しは「一風堂」など有名店のラーメンや餃子をラインナップしました。

JR西日本は2021年12月、JR二条駅改札外に京都の名店「麺屋極鶏」の冷凍自動販売機を設置。サンデン・リテールシステムの冷凍自動販売機「ど冷えもん」を使用しています。本年2月には「エキマルシェ大阪」に第二弾が設置され、同店のTwitterでは設置の様子が紹介されました。

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JR東日本は2022年1月~2月にかけて、大宮駅へ期間限定で「冷凍ラーメン」自動販売機を設置。丸山製麺の「ヌードルツアーズ」という自販機を使用しており、決済方法が「Suica 等の交通系電子マネー専用」となっていたのが特徴です。

新型コロナウイルス禍により「非接触・非対面」サービス需要が高まるなか、気軽に食品を購入できる「冷凍自販機」の設置は時代のニーズを捉えた動きと言えますが、面白いのはどの自販機でも本格的なラーメンを販売していること。ただの冷凍ラーメンならスーパーなりコンビニなりでも買えますが、そのクオリティでは「名店へ足を運び、その店ならではの味を堪能する」という体験を代替できないのかもしれません。

自販機によってはラーメンに限らず様々な食品を販売することも可能であり、その仕様が鉄道事業者にとっては大きなメリットになる可能性もあります。たとえば駅周辺の飲食店から冷凍メニューを募り、冷凍自販機で販売する――その駅周辺にはどんなお店があり、何が人気なのか。地元の名店を知るきっかけにもなりますし、出張中ならホテルへ持ち帰って夜食にもできる。提供する飲食店にとっても販路拡大の一手となり得ます。

技術の進歩やコロナ禍で変わる「鉄道×自販機」事情。もし変わり種の自販機を見つけたら、ちょっと足を止めてみてはいかがでしょうか?

記事:一橋正浩