地下にもぐった線路の跡地は「下北線路街」に

線路が地下に移設され、スタイリッシュに生まれ変わった下北沢駅。下北沢では京王も「ミカン下北」と名付けたしたた高架下開発に取り組みます(写真:t.sakai / PIXTA)

二題目は、「地下にもぐった地上の線路跡に新しい街が出現」です。前段でも触れた東北沢―世田谷代田間の地下化。線路が地下にもぐると、地上はどうなる? そうです、元が線路ですから細長い空地が出現します。

小田急は、劇場などカルチャーの街として来街者の多い下北沢(シモキタ)を中心に、地下化区間の地上部を「下北線路街」と名付けて開発しました。

地元の世田谷区、下北沢で井の頭線が接続する京王電鉄とも歩調をそろえながら、商業施設、長屋型住宅兼店舗、都市型ホテルなどを誘致・整備しました。

月のオブジェをアートのウサギが見上げる

下北線路街で開催中のムーンアートナイトの月のオブジェとウサギのもちつき。写真ではよく分かりませんが、月もかすかに発光しています(筆者撮影)

その下北線路街で、2022年9月25日まで開催中なのが「アートフェスティバル・ムーンアートナイト下北沢」。中秋の名月の10日にスタート、約2週間にわたるイベントは、小田急が線路街でアートギャラリーを運営するスタートアップ企業・スタートバーンや、下北沢商店連合会と共同で企画しました。

メーンは線路街東北沢寄りの広場に展示される、直径7メートルの月のオブジェ「ミュージアム・オブ・ザ・ムーン」。イギリス出身のアーチストのルーク・ジェラムさんが制作、世界30以上の国・地域で展示され、夜は穏やかに発光して幻想空間を演出します。

オブジェの月を見上げるウサギは、オーストラリアを拠点に活動するアマンダ・パーラーさんの作品。月の模様を「ウサギのもちつき」に見立てるのは日本と韓国だけのようで、シモキタには世界でもオンリーワンのアート空間が出現しています。

地域連携イベントとして。下北沢駅から1キロ弱離れた北澤八幡神社には、パーラーさん制作、身の丈7メートルの巨大ウサギも公開されます。

小田急は今回を初回に、毎年秋のイベントとして定着を図るそう。駅界わいではデジタルアートのスタンプラリーを実施中で、お出かけの方はスマートフォンをお忘れなく。