通常の信号で待つか、それとも先行列車に接近するか

話を小田急に寄せます。2013年3月、東北沢ー世田谷代田間が地下化されました。新宿方面の上り列車は世田谷代田手前(小田原方)の梅ケ丘から下り勾配を降りることになり、遅れを発生させない、遅れを回復できるダイヤというか運転方法が求められました。

この時、小田急は先行列車に続行する急行の運転方法として、通常の信号で停止して待つか、それとも運転取り扱いを変更して、(もちろん安全を確保した上で)先行列車にさらに可能な限り接近して停車させるかの2案を比較検討しました。

運転士の心理を考慮した運転方法をシミュレーションした結果、通常の信号で停止した方が遅れが生じにくいという結論が導き出されました。実際に地下化後の新ダイヤでも、シミュレーター通りの結果が示され、研究の正しさが証明されました。

複々線区間手前の運転方法を見直し

話は続きます。2018年3月には東北沢―和泉多摩川間が複々線化され、列車増発など輸送力が大幅に強化されました。

小田急はこの際、複々線区間手前に当たる新百合ケ丘―向ケ丘遊園間の運転方法を見直しました。同区間は新ダイヤで列車本数が大幅に増えましたが、複々線区間に遅れを持ち越さないダイヤが求められたからです。

具体的には、運転士の心理も踏まえ、制限速度を信号機に表示するなどシステムを改修して運転士を支援。その結果、同区間で遅延を回復できた列車の割合はダイヤ改正前(2017年4~12月)の64.5%から改正後(2018年4~12月)は73.8%に上昇。こうして、小田急は遅れの少ない快適ダイヤを実現しました。

小田急の新しい信号システム。左は新百合ヶ丘駅の出発信号機で、抑速制御運転する列車に、抑速制御が適用されることを伝えます。右は生田駅で、ここから時速70キロまで速度を上げられることを伝えます(画像:小田急電鉄)