快走する北総線の電車(画像:北総鉄道)

千葉県の北総鉄道は2023年6月23日の定時株主総会に、2023年3月期決算を報告した。同社は2022年10月、運賃を全体平均15.4%と大幅に値下げ。物価高騰の世にインパクトは大きく、輸送人員は前期に比べ12.5%増と、2けたの割合でアップした。最終利益は17億5800万円を確保、前期末に14億6900万円あった累積欠損を解消した。

主な経営指標は、売上高に当たる営業収益が139億3500万円(前期比1.3%減)、営業利益28億3900万円(3.3%減)、経常利益25億2800万円(2.2%減)、当期純利益17億5800万円(0.7%減)。

利用客数に相当する輸送人員は定期外1214万9000人(17.4%増)、定期2316万4000人(10.2%増)。運賃値下げでICカードで乗車する定期外客が、積極的に鉄道を利用するようになった様子をうかがわせる。

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しかし利用客は増えたものの、運賃値下げによる単価ダウンで全体としては減収に。物件費高騰もマイナスして、全体では減収減益の決算になった。

個別の注目点では、運賃値下げを機に子育て世代の沿線住民を増やそうと、通学定期を平均64.7%と大きく引き下げたが、学生の利用は3割程度増えているという。運賃値下げが期中の10月からだったことを考えると、本当の効果発揮は2023年4月からの2024年4月期との見方もある。

記事:上里夏生

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