ロシアによるウクライナ軍事侵攻、中国台湾有事など、国際情勢の緊張が続くなか、岸田内閣・自民党は「5年以内に防衛力を抜本的に強化し総額43兆円に引き上げる」とし、これまで国内総生産(GDP)比で1%を目安にしていた防衛費を、自民党はGDP比2%以上を念頭に増額するよう求めている。

2022年12月自民党税制調査会で、防衛費増額の財源を、法人税・所得税・たばこ税の3つの税目を組み合わせてまかなうという増税案でいったん決着したものの、同調査会でも「拙速な議論を避けるべき」という声も強く、2024年以降の適切な時期に増税していく見込み。

2024年のたばこ税は、加熱式たばこの税率が引き上げられて、1本あたり3円程度の段階的な値上げが行われる可能性がある。

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この たばこ増税に対し、「なぜ喫煙者ばかりに負担を負わせるのか?」と問い、「加熱式たばこの増税に反対する署名請願」(https://x.gd/2kDns)を集めているのが、経済学者・自由主義研究所 蔵研也 研究員。

非喫煙者 蔵研也氏が加熱式たばこ増税に反対する理由

「加熱式たばこの増税に反対する署名請願!」署名発起人の経済学者・自由主義研究所 蔵研也 研究員は、都内で署名の途中報告会を開き、12月14日時点で3万3,985人から声が集まり、10月には自民党 田中和徳 税制調査会 副会長に提出した。

蔵研也 研究員はたばこも加熱式たばこもやらない、非喫煙者だ。

その蔵氏が、加熱式たばこの増税に反対する前段に「巨大化する日本政府が国民から巻き上げる過剰な税金は、財産権の侵害である」という考え方がある。

「財産権の50%以上が、政府によって税として奪われている」

財務省が「令和4年度の国民負担率は、46.5%となる見通しです(詳細は資料参照)。国民負担に財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は、56.9%となる見通しです」と伝えている内容はなにを意味するか?

「これは、個人の自由(財産権)の50%以上が、政府によって税として奪われていることを意味する。

今後の日本では、人口減少と高齢化によって福祉国家化がさらにすすみ、ますます国民の負担は増え続ける。

日本の国民負担率(租税負担および社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率)が2021年度に48%を超え、超高齢化で社会保障費が増加することから、2040年には国民負担率が70%を超えるという予測もある。

つまりいまこの時点でも、国民の所得の半分以上が、税金や社会保障負担として徴収されている。

また国民所得の半分以上をもって徴収された金は、その半分が補助金や各種手当などとなって再分配される。残りの半分は政治家やそこに関わる人や企業へ……。

過剰な税は財産権の侵害だ。

福祉国家は、個人の自由が制限されていくという意味で、社会主義国(権威主義国家)と同じ方向性に。

政府は増税や規制によって、個人の自由を制限してきます。

政府に国民の自由を制限させないためには、「国民が政府を制限する=政府を小さくする」必要がある。

政府を小さくし、個人の自由が尊重される社会をめざしたい」(蔵氏)

―――こうした考え方で着目したのが、たばこ増税だ。

「加熱式たばこのみを増税する案には合理性がない」

「たばこの消費者は既に約2兆円の税負担を実施していて、たばこのみが嗜好品として重く課税される根拠もなく、健康面等での技術革新が期待される加熱式たばこのみを増税対象とする増税案には合理性がない。

まして、防衛費増額を加熱式たばこの消費者に極めて偏ったかたちで負担させる理由も見出せない。

また、平時の防衛費を安易に増税に頼ることは、一国の経済力をいたずらに毀損(きそん)することにもつながる。

したがって、経済的合理性、租税負担の公平性、ハームリダクション・技術革新の観点から、2024年に可能性がある『加熱式たばこの増税』に対して反対する署名請願を実施した」(蔵氏)

「政府の腐敗を減らすためには、政府を制限し小さくするしかない」

―――この「加熱式たばこの増税に反対する署名請願」途中報告会で何度も出てきたのが「利権」だ。

「政府は国民から強制的に集めた税金を使うため、どうなったとしても継続できてしまう。

政府の活動が失敗しても、政治家や官僚は自分のお金ではないため、彼らには痛みがない。

結果として、政府や行政の活動は改善されにくく、政治家や官僚は国民に対して『失敗のいいわけをする能力』だけが高まっていく。

官僚はいいわけをする能力が非常に高いから、国民はそれを信じてしまう。

これが繰り返されると政治は利権化していき、腐敗は進んでいく。政府の腐敗を減らすためには、政府を制限し小さくするしかない。

また、定期的に政治家や官僚を交代させ利権化させない仕組みも必要で、その方向性として必要なものは自由主義のなかにあると思います」(蔵氏)

―――蔵氏の話のなかで、「料」とつく徴収金は、「財政民主主義の形骸化だ」というのも印象的。

たとえば、社会保険料や運転免許証更新手数料などもそう。脱法的に国会の議決を通さず、閣議決定のみで通る、国民からなんの根拠もなく平然と巻き上げる金……そう教えてくれた。

―――「加熱式たばこの増税に反対する署名請願!」は、現在も賛同署名者を募っているから、詳しくは公式サイトをチェック↓↓↓
https://x.gd/2kDns

最後は、今回の途中報告会で資料にあった“ある言葉”を―――。

「必要以上に税を集めるのは合法的な強盗である」(カルヴィン・クーリッジ 第30代アメリカ合衆国大統領)

蔵研也(経済学者・自由主義研究所 研究員)

1966年、富山県氷見市生まれ
1988年、東京大学法学部卒業
1991年、サンフランシスコ大学経済学MA(修士号)取得
1995年、カリフォルニア大学サンディエゴ校経済学Ph.D.取得
1995年、名古屋商科大学経済学部専任講師
1997年、岐阜聖徳学園大学経済情報学部准教授
2022年、岐阜聖徳学園大学退職

著書
『現代のマクロ経済学 ルーカスとその還元主義的方法論をめぐって』日本図書刊行会 1997年
『国家は、いらない』洋泉社 2007年
『無政府社会と法の進化 アナルコキャピタリズムの是非』木鐸社 2007年
『リバタリアン宣言』朝日新書 2007年
『18歳から考える経済と社会の見方』春秋社 2016年
『ハイエクといっしょに現代社会について考えよう』春秋社2022年