2024年3月16日の北陸新幹線の延伸開業で、首都圏からも近畿圏からも近くなったのが「福井県」
福井と聞いて多くの人たちが思いつくのは「恐竜」というキーワードでしょう。

日本で発見された恐竜化石のうち約8割が福井県で見つかっており、日本最大級の恐竜化石発掘現場があったり、有名な恐竜に特化した博物館があったりと、福井県は恐竜王国とも呼ばれています。

今回は、日本の他の地域では体験ができない、福井ならではの以下のような恐竜スポットをご紹介します。

新幹線開業により利用客が増える県の玄関口「福井駅」

新幹線開業で沸く「福井駅」の周りには、実は他の大都市の駅前では見られない光景が広がっているんです。
それがこちら!大きな動く恐竜たち。

高さ約6.0mと非常に大きい フクイティタン

上写真は駅前の西口前にある、鳴き声をあげて動く恐竜モニュメント。フクイティタンは、福井県で化石が発見された竜脚類の草食恐竜で「フクイ」の名前が入った恐竜です。

日本国内で発見されて名前が付いた恐竜は 11種類あるのですが、その中で福井県で発見されたものが過半数の6種類にもなります(2024年3月時点)。現在は国内随一の恐竜化石の産出地となっている福井県では、その他にも原始鳥類の化石が1種類発見されており、「恐竜王国」という呼称にも納得ですね。

うなり声をあげて動くティラノサウルス

福井駅の西口・東口の駅前には、動くいてうなり声を上げる恐竜のロボットが複数設置されています。
筆者が撮影をしている際にも、「思ってたよりずっと大きい」「こんな駅前で恐竜が吠えてるなんて、初めて見た」「こわくて近づけなーい」「ジュラシックパークみたい」など、様々な感想を言いながら、恐竜たちを写真に撮っていました。

大迫力のティラノサウルス(左上)、フクイラプトル(右上)トリケラトプスの親子(左下)、フクイサウルスvsフクイラプトル(右下)

その他、福井駅舎の外壁には、福井で化石が発掘された恐竜等の巨大イラストが描かれていたり、一緒に写真が撮れる恐竜トリックアートがあったり、恐竜の足跡化石など様々な恐竜関連のものが設置されているので、是非色々と探してみて下さいね。

駅舎に描かれた巨大な恐竜イラスト(上)、恐竜の足跡化石(複製・左下)、駅外壁面の恐竜トリックアート(右下)

福井駅内にはレゴブロックの恐竜が!その精巧なつくりには驚き!

JR/ハピラインふくいの福井駅コンコースには、レゴ®ブロックによって作られた肉食恐竜「フクイラプトル」の恐竜モニュメントが展示されています。

レゴブロックでできたフクイラプトル (福井駅コンコース内の西口前)

このレゴ®ブロックの恐竜は、日本人で唯一のレゴ®認定プロビルダー三井淳平さんが2023年9月から約600時間かけて作り上げたというもので、高さが約1m、全長は3mという大きさです。

三井さんは「3mサイズの⽣き物は今まで作ったことがなく、試⾏錯誤しながらの制作になりましたが、無事に仕上げることができてホッとしています。⽬や⽖などには⼩さいパーツを組み合わせた細⼯もしていますので、是⾮近くでどんな組み⽅をしているかチェックしてみてください」とコメントしていますので、是非細かな部分は実際に近くで見てください。

フクイラプトルの曲線をどのように表現しているか観察してみると面白いです

この制作プロジェクトにおいては、福井県⺠に約62,000ピースものレゴ®ブロック収集の協力をいただき、約140⼈の⼦どもたちがフクイラプトルの立つ周辺の街並みを制作したそうです。まさに、福井県民や街並み制作をした子供たち、三井さんとの共同作業により完成した作品といえるでしょう。

地面は、子供たちが作った、街並み・乗り物・人などでできています

このレゴ®ブロック「フクイラプトル」、福井駅コンコースのフォトスポットとしても、待ち合わせの場所としても良いと思いますよ。

そして、駅コンコース反対の東口側にあたる福井市観光交流センター側の1階には、フクイラプトルの木製恐竜骨格の展示があったりと、駅の周辺いたるところに、恐竜の様々な展示がありますので、是非色々と探してみてください。

フクイラプトルの木製恐竜骨格標本 全身4.2mと推測されています

子供達に大人気、えちぜん鉄道「恐竜列車」に乗って 福井県立恐竜博物館へGO!

福井県の恐竜に関連する場所で一番有名なのは、何といっても「福井県立恐竜博物館」でしょう。恐竜博物館のある勝山市まで、特別な体験ができる列車が運行しているという事で、今回はえちぜん鉄道の「恐竜列車」に乗車させてもらいます。

駅東側にある連絡口でえちぜん鉄道の福井駅に この駅内壁には恐竜の巨大イラストが

福井駅から恐竜博物館がある勝山市の勝山駅までは、えちぜん鉄道の勝山永平寺線が、27.8kmを約52分ほどで結んでいます。
その区間を走る特別な観光列車が、えちぜん鉄道の「恐竜列車」です。

えちぜん鉄道・恐竜列車 イラストは山本匠さん

この列車は、恐竜博物館のリニューアルに合わせて2023年7月に、静岡鉄道からの1000形(1010・1510編成)を改造して、新たにMC8000形として運転が開始されました。

車体ラッピングのイラストは、恐竜博物館のジュラ紀ジオラマ背景や、JR福井駅舎の壁画デザインなどを手がけた恐竜イラストレーター・山本匠さんが担当。二両合せて71種類の恐竜が描かれています。

1両目は今にも恐竜が飛び出してきそうなジュラシックゾーン

外観デザインだけではなく、列車内の恐竜の装飾も凄いんです。車両によって異なるテーマとなっており、1両目はジュラシックゾーンがテーマ。
列車の中に置かれている大きな恐竜に、子供達も大興奮で写真を撮っていました。

先頭には大迫力のティラノサウルスの頭が! 家族での記念になりますね

2両目は化石発掘現場がテーマとなっており、化石をデザインしたシートや内装がほどこされています。

2両目は化石発掘現場がテーマ

乗っただけで子供たちが大喜びする列車内ですが、運行中には恐竜に関するクイズ大会が行われたり、恐竜のビデオが見られたりと、恐竜博物館列に行く前に楽しめる催しで特別な旅になりますね。福井駅から55分程度で勝山駅に到着すると、駅前には恐竜博物館までの連絡バスが待っていますので、待ち時間なしでスムーズに移動をすることができますよ。
この、えちぜん鉄道「恐竜列車」は朝一番の東京からの新幹線での接続も可能になっていて、完全予約制になっています。運行日時を含めファミリーで恐竜博物館に行かれる予定のある方は、早めにチェックをしてみてくださいね。

えちぜん鉄道 恐竜列車: https://www.echizen-tetudo.co.jp/dino-train/

世界三大恐竜博物館のひとつ「福井県立恐竜博物館」は みどころ満載

福井県立恐竜博物館は、福井県勝山市にある恐竜を主テーマとした博物館で、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館、中国の自貢恐竜博物館と共に“世界三大恐竜博物館” の一つにも数えられます。
この場所から7キロ位入ったところには、手取層群北谷層という地層があり、数多くの恐竜化石や様々な生物の化石が発見されています。

「福井県立恐竜博物館」は建築家・黒川紀章さんが手掛けた近未来的な外観、正面入り口前には恐竜のオブジェが

近代的な外観の博物館は、入り口ゲートから館内に入るとそこは建物の3 階になります。長いエスカレーターで地下1階まで一気に降りて廊下の展示物を見ながら常設展示室へ向かいます。天井が高く4500㎡と広大な常設展示室1階に入ると、大きなティラノサウルスが目の前でお出迎え。

常設展示室1階 中央は1階に入ってすぐの場所の動くティラノサウルス

このティラノサウルスの動きは、「口を閉じた時には歯が見えていなかった」という最新の研究成果を反映して、23年のリニューアル時に新しくなったそうです。

大きなティラノサウルス 目が合って吠えられると子供なら本気で怖がってしまう迫力です

常設展示室には「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴史」の3つのゾーンに分かれて様々な展示があるのですが、恐竜の全身骨格化石がなんと50体も展示されています。

カマラサウルスの全身骨格化石

50体もの恐竜の全身骨格のうち10体は、実物の化石を使っているという貴重なものです。全身骨格模型の展示をする場合、実際の化石は大変貴重でもろいため、本物そっくりの複製標本(レプリカ)を作成してそれを組み立てて展示するという事が圧倒的に多いのです。
福井県立恐竜博物館にあるカマラサウルスの全身骨格では、実に9割もの骨が実物化石で組み上がっており、大変貴重な標本です。

もちろん、福井県で発見された恐竜も展示されています。

フクイサウルスの復元骨格 イグアノドン類の草食恐竜です

福井県の恐竜コーナーには、鳥脚類「フクイサウルス」、獣脚類「フクイラプトル」「フクイベナートル」、竜脚類「フクイティタン」や、原始的な鳥類の「フクイプテリクス」などの化石標本や復元骨格などが展示されています。2023年秋に、福井県で見つかった6種類目の恐竜(日本国内では11種類目)として記載された「ティラノミムス・フクイエンシス」の化石や復元模型も展示されています。

常設展示室内にある向かい合う2つのモニターで連動した映像が流れる

今回はご紹介できませんが、この他にもたくさんの展示がありました。

恐竜博物館施設内には、他にも気になる場所がいろいろ。実はこの博物館は研究施設という側面も持っている建物なのです。
発掘現場から採掘してきた化石を石の中から取り出すクリーニングという作業は、化石クリーニング室という部屋で行われており、その様子をガラス越しに見学することができます。

化石研究の作業を行う 化石クリーニング室

2023年7月のリニューアルにより、常設展示には実物ミイラ恐竜化石が加わり、新館1階には特別展示室が作られました。特別展が無い期間は高さ9メートルのコの字型大型コスクリーン3面のダイノシアターになります。
その他にも化石のスクリーニングやCT化石観察ができる「化石研究体験室」が設置され実際の体験学習が可能になったり、収蔵庫が外から一部を見学できる「見える収蔵庫」に変わったりと、より研究施設の一面を感じられる施設となっています。

実際の発掘現場から運んできた石から、道具類を使い化石を見つける化石研究体験の部屋(左)、新館には福井で発見された恐竜など5種類のオブジェが(右)

この博物館内だけでも、1日では見きれないくらいの沢山の見どころが詰まっています。

福井県立恐竜博物館で恐竜メニューのランチを!

1日では見きれない恐竜博物館なので、途中で昼食をとる人も多いのでは。館内にあるレストランは広くてきれい。
カレーやオムレツ、ハンバーガーなどには恐竜博物館ならではのかわいいメニューがそろいます。福井県の名物である ソースカツ丼 や おろしそば も用意されています。もちろんキッズ用のメニューもありますよ。

恐竜のオブジェがある広いレストラン

メニューをチケット販売機で注文し、出来上がると番号で呼び出される方式です。今回は人気メニューの「スピノサウルスカレー」をオーダー。

スピノサウルスカレー ドリンクセット 1550円

スピノサウルスの形に盛られたライスにチキンでできた足が付いています。スピノサウルスの特徴的な背びれも表現されていて、見た目から楽しめます。カレーは甘口なので、辛いものが苦手なお子様でも大丈夫です。

大人気のフィールドステーション「野外恐竜博物館」へのツアー

フィールドステーションである野外恐竜博物館へは、有料で別途予約が必要になり、恐竜博物館からの専用バスで行くツアーでのみ訪れることが出来ます。野外恐竜博物館へのツアーでは、勝山市北谷町にある「恐竜化石発掘現場の見学と」、「ステーションでの展示見学」、そして「本格的な化石発掘の体験」を楽しむことが出来ます。(発掘体験は実際の石を使って行いますので、手を守るために軍手か手袋が必要です。事前のご用意もしくは、ツアー参加前に購入をすることになります。)

恐竜博物館からのバスで向かいます

バスで15分~20分ほどかけて、野外恐竜博物館へ向かいます。

貴重な化石発掘現場近くに作られた「野外恐竜博物館」

このツアーでは、日本最大の恐竜化石発掘現場である北谷の恐竜化石発掘現場を、博物館のナビゲーターの解説を聞きながら、見学することになります。1988年に始まり、以降、発掘を繰り返してきた貴重な現場から出た化石は、福井県立恐竜博物館に収蔵されています。野外恐竜博物館は2014年に開館し、2017年には化石発掘現場の一部が国の天然記念物に指定されたそうです。

本当に恐竜化石が発掘された現場を見学します

展示場の館内では、北谷の恐竜化石発掘は長い歴史を、実際に発掘された恐竜化石などと共に見学することが出来ます。

野外恐竜博物館の「展示場」

化石発掘体験広場では、実際の化石を見つけ出す体験をすることが出来ます。発掘された多くの石の中から、参加者それぞれが自由に石を選択し、中に化石があるかを調べていく体験¥になります。

発掘現場から採取された多くの石が置かれています

大人と一緒に行う事で、子供でもできる作業ですので、家族での思い出になりますね。通常は、発掘した化石は持ち帰ることが出来ますが、もし発掘体験中に重要な化石が見つかった場合には博物館に引き継がれ、研究に役立つ可能性があるそうです。

慎重に石を砕き、中を調べていきます

こちらは、福井県立博物館でしか体験ができないツアーになりますので、ぜひ参加をご検討ください。ただし大人気のツアーですので、博物館への訪問日が決まったらすぐに予約をすることをお勧めします。
もし福井県立恐竜博物館での予約が取れなかった場合には、隣接する「かつやま恐竜の森」の中でも化石発掘体験が開催されていますので、化石発掘のみでも行いたいという場合には、そちらをご予約するのがよろしいかと思います。

恐竜博物館のすぐ近く 動く恐竜に出会えるかつやまディノパーク

恐竜博物館を見ていると幼児~小学校低学年などの小さなお子さんは、ついつい飽きて他で遊びたくなってしまうもの。そんな時におススメなのが、恐竜博物館から徒歩1~2分ほどの場所にある恐竜のテーマパーク「かつやまディノパーク」です。

博物館から1~2分の距離にある「かつやまディノパーク」

勝山ディノパークは、勝山恐竜の森の中にある施設で、動く恐竜ロボットが80体以上いるメインエリア「恐竜が住む森」の他、恐竜迷路があったり、列車やボートに乗ったりパークゴルフができるガオガオ広場というエリアや、巨大な昆虫をトラムから見学する巨大昆虫体験ツアーなど、小さなお子様が楽しめるものがそろっています。

せっかく恐竜博物館へ来たので、ここも体験をしてみる事に。

恐竜が住む森に入ってすぐの場所です

恐竜が住む森に入ると、動くテクタノサウルス(上写真 右)や、卵を守るマイアサウラが、鳴き声を上げて動きながら出迎えてくれます。

ここは周遊コースになっており、森の中にある起伏に富んだ通路を歩いて、両側に登場する多くの恐竜を見ながら進んでいく事になります。天気が良ければ解放感があって、気持ちのいい散歩になるかと思います。

森の中には鳴き声をあげて動く恐竜ロボットが数多く点在しています

森の中を進むんで行くと、両側にはたくさんの種類の動く恐竜たちが、鳴き声を上げています。中には肉食恐竜が他の恐竜を食べている姿も見ることができます。それぞれの恐竜には種類などの案内表示があるので、恐竜の名前を覚えながら進むこともできて、楽しいですよ。

森の中で動く恐竜にお子さんはワクワクです

恐竜の住む森のエリアは20分ほどの周遊コースですが、出口の手前でもう一度戻って一周することもできるようになっています。

次は、ヴェロキ館という、屋根にヴェロキラプトルがいる建物にある恐竜迷路に行ってみましょう。

屋根のヴェロキラプトルが目立つ新しい建物です

この建物の中にある迷路は、鏡張りでできていて、何ともいえない不思議な空間になっています。

鏡に囲まれた迷路空間が広がります 途中には恐竜が出現

こちらは屋内なので、雨の日でも楽しむことが出来そうですね。

敷地内には、その他にも、パークゴルフやミニトレイン、プールの上を浮かぶボートなど、小さな子供が楽しめる遊具や、巨大昆虫冒険ツアーなどがありますので、小さなお子様連れの方はこちらもおすすめです。

パークゴルフとプールに浮かぶボート

この かつやまディノパークや福井県立恐竜博物館 は、勝山市の かつやま恐竜の森 という公園の中にあります。
この公園の中には、BBQガーデンがあったり、本格的な化石発掘体験ができる施設(予約制)もありますので、ゆっくり滞在できる方はこちらも検討してみてください。

「恐竜王国」福井~勝山で楽しむ恐竜スポットに 大人も子供も大満足

今回の記事では、福井駅の周辺にある恐竜関連オブジェやえちぜん鉄道の観光列車「恐竜列車」、そして「福井県立恐竜博物館」や「かつやまディノパーク」など勝山市にある恐竜スポットなどをご紹介しました。大人から子供まで、恐竜に関心がある人には是非体験して頂きたい場所の数々です。

2024年3月の北陸新幹線開業で、今までよりも便利に行けるようになった「恐竜王国 福井県」。この機会に是非ご家族で行ってみるのはいかがでしょう。

取材・写真:鎌田 啓吾
(鉄道チャンネル)

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