東武鉄道の主要拠点である池袋駅西口では、大規模な再開発プロジェクトが進められており、東上線全体の価値向上にも寄与すると期待されています。
三菱地所や三菱地所レジデンスが事業協力者となる市街地再開発準備組合による「池袋駅西口地区 市街地再開発事業」(約4.5ヘクタール、下図の緑点線内)と、東武鉄道が進める「池袋駅直上西地区 市街地再開発事業」(約1.6ヘクタール、下図の青点線内)という2つの事業が相互一体的に整備を行っていく事になっています。

池袋駅西口地区市街地再開発準備組合による施工部分

組合が施工する地区に関しては、A街区に地上41階・地下4階のA棟と交通広場が、B街区にはB棟高層部として、地上50階・地下5階の建物が、C街区には2つの高層部分で構成されるC棟(高い方が地上33階)、D街区は現在と同じように公園として再美される計画になっています。

(都市計画の素案より、三菱地所、東武鉄道)

組合施工する地区は、鉄道・駅前の車道などが歩行者のバリアとなっており、池袋駅の東西のまちからまちへ人の回遊が乏しかったたという課題があったため、駅前広場や駅と周辺のまちをつなげる安全で快適な歩行者空間の整備等によって、回遊性・利便性、さらに防災性の高い歩行者中心のまちに都市構造を転換することを目指すといいます。

ウォーカブルなまちづくりを推進 (都市計画の素案より)

池袋駅の線路下の地下空間には、北・中央・南の3か所の通路が東口エリアと西具口エリアとをつないでいますが、この素案では2階レベルの北側のデッキも描かれています(池袋駅周辺の線路上空には、南デッキと北デッキの2つのデッキ整備の構想があります)。
地下レベルの通路や2階デッキレベルと、地上レベルをつなぐために、北・中央・南と3か所の駅まち結節空間を作る計画になっています。(南えきまち結節空間は既に整備済みです)

町の全景を見ると交通広場の部分は低層になっており緑もあり、歩行者空間として活用されるような造りになっているのが分かります。
その中で、B棟高層部とC棟の間に関しては、憩いの場やイベント会場として使用できるような、半屋外の空間「大屋根広場」が整備されます。中央の駅まち結節空間ともつながる場所ですので、待ち合わせの場所として、新たなランドーマークになるかもしれません。

雨が当たらない大屋根広場

大屋根広場は、2019年11月に整備が完了している、屋外型の劇場空間「GLOBAL RING THEATRE」に隣接して設置されます。

東武鉄道による施工部分

次に、東武鉄道が施工するB棟低層部を見て行きましょう。この区域は、駅直近に芸術・文化の情報発信や表現の場が少なく、周辺に人々の滞留や交流を促す心地よい歩行者空間が不足していると分析されています。
駅直上を再開発をすることで、新たなアート・カルチャー・スポットとしてデッキレベルで駅と周辺のまちをつなげる安全で快適な歩行者空間が整備され、商業機能や駅機能の更新が行われる予定です。
駅のホーム数は現行の3面3線から3面4線へと増やし、運行の効率化と混雑緩和を図る計画です。これにより利用者の利便性が向上し、駅は単なる通過点に留まらず、街への誘客を促すゲートウェイとして機能すると見込みます。

左:地上から中央地下通路、右:北東側から計画建物 イメージ(画像:東武鉄道)

駅やそ駅上空間の整備の他に、東武線線路がある上空の空間を利用して、「東武東上線上空広場」という歩行者専用の遊歩道を整備する計画もあります。歩行者が安全に移動が出来る空間になると共に、いろいろあ人々のアートカルチャースポットになることをめざした広場を目指します。

線路の上空空間を利用しての遊歩道の整備を計画

これらにより、世界中から人を惹きつける国際アート・カルチャー都市の入り口としての機能を持たせることが期待されています。

今後のスケジュール

池袋駅西口再開発は、2024年10月23日に都市計画が決定され、2027年度には組合事業の設立および計画認可と権利変換を進める予定。2030年度には工事着工後、順次竣工を目指すとしています。
今後の開発スケジュール進捗にも注目です。

今回の再開発により、駅とまちを一体化させる「ウォーカブルなまちづくり」を推進し、池袋エリア全体の魅力向上と新たな賑わいの創出を目指すとしています。
(画像:三菱地所・東武鉄道の池袋駅西口地都市計画素案、TOP写真/池袋駅西口:Ryuji / PIXTA)

(鉄道ニュースや、旅行や観光に役立つ情報をお届け!鉄道チャンネル)

【関連リンク】