京成は2025年4月、自社線に仲間入りした旧新京成の駅名標を廃用品として販売(筆者撮影)

初日の東京は雨模様で最高気温17度。しかし、会場のお台場イーストプロムナード(江東区)は、最悪のコンディションをものともしない熱気に包まれた。10月14日の「鉄道の日」を目前に開かれた、32回目の「鉄道フェスティバル」(2025年10月11~12日)。鉄道会社・団体を中心に、過去最高レベルに並ぶ80社・団体以上がブースを構えた。

国土交通省や鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)、全国の鉄軌道事業者、鉄道関係団体などで構成する「鉄道の日」実行委員会が主催。全国知事会、全国市長会、全国町村会などが後援した。

会場は、りんかい線国際展示場駅と東京ビッグサイトをつなぐアクセスルート沿い。南北方向の「石と光の広場」にJRグループ各社や第三セクター鉄道等協議会の加盟各社、東西方向の花の広場に日本民営鉄道協会の会員私鉄各社などとエリアを分けた。

鉄道の制帽メーカー、ファン向けに進出

初登場が、東京・浅草橋に本社を置く日本官帽制帽。1923年創業の百年企業で、鉄道や自衛官、海上保安官などの制帽を製作してきた。

今回、鉄道会社からのアドバイスもあって、新幹線やSLがモチーフの子どもたち向けのミニ制帽を考案。一般向け商品は初めてで、「鉄道ファンの裾野を広げられれば」と企画担当者は話す。

鉄道むすめのアニメは来年TV放映

交通新聞社はクリアファイルをコレクションできる鉄道むすめのホルダーを売り込んだ(筆者撮影)

ファンばかりでなく、一般にも人気の鉄道キャラといえば「鉄道むすめ」。レコード会社として多くの人気アーチストを抱えるポニーキャニオンからは2025年10月、オリジナルTVアニメ「てつりょー!meet with 鉄道むすめ」の2026年放送開始が発表された。

てつりょーは鉄道旅行同好会。大学のてつりょーに所属する4人の鉄道むすめが、世界の鉄道に乗り鉄するストーリーだ。

鉄道むすめにコラボしたのは交通新聞社。「JR時刻表」などを発行する鉄道出版界の名門で、フェスでは「鉄道むすめカレンダー」を先行販売。オリジナル缶バッジプレゼントも人気だった。

鉄道むすめのコンテンツは、Nゲージ鉄道模型でおなじみのトミーテックを中心に各鉄道会社やメディア展開する。

一番人気の東京都交通局ブース

以下、JRグループや私鉄各社などを駆け足で。

JR東日本は、本体が東北新幹線などをPR。JR東日本クロスステーション、オレンジページ、JR東日本商事のグループ3社が物販と役割を分けた。オレンジページは1988年創刊。ダイエーグループで生活情報誌を発行していたが、2001年にJR東日本グループ入りした。

JR東海ブースでは、2025年1月に引退したドクターイエローこと923形の写真集「ありがとうT4」の出版が告知された。グループのウェッジから2025年12月19日に発売予定。

JR西日本は観光列車「WEST EXPRESS 銀河」などをPR。鉄道の新しい利用促進策では、大阪・関西万博の勢いを追い風に「『動け、好奇心。』キャンペーン」を10月15日からスタートさせた。キャンペーンでは、エンタメやグルメ、スポーツなどで多彩に新しい旅を提案する。

私鉄や公営交通関係で、長蛇の列ができたのが東京都交通局ブース。物販で、都営地下鉄のプレートには5万円の〝超レアお宝〟もあった。

ファン垂ぜんのお宝満載。今年も一番人気だった東京都交通局ブース(筆者撮影)

徳島県の第三セクター・阿佐海岸鉄道は、前年に続いて鉄道と線路の双方を走れるDMV(デュアル・モード・ビークル)を実物展示した。

主催事務局によると、前年には届かなかったものの今回のフェスには延べ約5万7000人が来場した。

南海は2026年春の運行開始を予定する新しい観光列車を発信(筆者撮影)

記事:上里夏生

【関連リンク】