JR西日本が、国鉄時代から活躍してきた機関車や貨車を置き換えるため、新型事業用車(8両)およびバラスト散布車(12両)を2027年春以降、順次導入することを発表しました。
特に新型事業用車は、同社初となるハイブリッド方式の電気式気動車を採用します。これにより、安全性・生産性の向上 に加え、従来の機関車と比較し燃費向上(環境負荷低減)が期待されます。一部の車両は嵯峨野観光鉄道の予備機としても使用されるなど、持続可能な鉄道運行を実現する縁の下の力持ちの登場に期待が高まります。

JR西日本に「謎の新型車両」誕生!その正体はハイブリッドな縁の下の力持ち

JR西日本は、長期ビジョンに「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」や「持続可能な社会」を掲げています。今回の新型車両導入は、このビジョンを実現する取り組みの一環です

現在使用している回送列車等の牽引や車両の入換作業に使う機関車、そしてバラスト輸送や散布作業に使う貨車は、国鉄時代に製造されたもので、更新の時期を迎えています。そこで、さらなる安全性の向上、生産性の向上、そして環境負荷の低減を実現するため、新型車両の導入が決定されました。

「電気式気動車(ハイブリッド方式)」!JR西初の試みで未来を走る

導入される新型事業用車は、「電気式気動車(ハイブリッド方式)」を採用しています。この方式の事業用車導入は、JR西日本にとって初めての試みとなります。

導入両数は8両(1両×8編成)が予定されています。主な役割は、新型バラスト散布車の牽引のほか、回送列車などの牽引や車両の入換作業などです。また、一部の車両は嵯峨野観光鉄道の予備機としても使用される計画です。

新型「バラスト散布車」も忘れちゃいけない

事業用車と同時に、新型の「バラスト散布車」も導入されます。こちらは12両(4両×3編成)が投入される予定です。公開されたイメージ画像では、新型事業用車がバラスト散布車を挟み込むような編成(バラスト輸送編成イメージ)も示されています。

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新型車両はココがすごい!安全・効率・環境にトリプルアタック!

今回の新型車両には、主に3つの特徴があります。

安全性の向上

車両を構成する機械部品を削減することで、運行時だけでなくメンテナンス時の安全性も向上します。さらに、車両の先頭部には衝撃吸収構造を採用。万が一の事態に備え、運転士が意識を失うなど運転操作を継続できなくなった際に自動的に列車を停止させる「EB-N装置」も採用し、安全性を高めています。

生産性の向上

電気式気動車(ハイブリッド方式)を採用することで、電車や気動車のシステムが共通化され、車両メンテナンスの効率化が期待できます。また、従来の機関車・貨車といった扱いを解消することで、運用効率の改善も見込まれます。

環境負荷の低減

新型事業用車は、ディーゼルエンジンと発電機で発電した電力と、バッテリーのアシストによってモーターを駆動させて走行します。このハイブリッド方式の採用により、従来の機関車と比較して燃費の向上が期待されています。(詳細については今後検証予定)

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「新型事業用車・バラスト散布車」概要

新型事業用車とバラスト散布車の導入時期は、2027年春以降、順次進められる予定です。
導入両数は、新型事業用車が8両(1両×8編成)、バラスト散布車が12両(4両×3編成)となっています。

環境負荷低減と効率化を両立するJR西日本初のハイブリッド事業用車は、2027年春以降、日本の鉄道の「安全・安心」を支える未来の力強い牽引役となります。国鉄時代から活躍してきた車両が姿を消すのは少し寂しい気もしますが、持続可能な鉄道運行を実現するための、新しい力持ちの登場に期待が高まります。
(画像:JR西日本)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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