JR福島駅、山形新幹線の「アプローチ線」新設はどんな工事?何が変わる? 平面交差解消で遅延減へ、2026年度末使用開始

JR東日本は、東北・山形新幹線の運行上の大きな課題となっていた福島駅の配線を改良するため、上りアプローチ線の新設工事を進めています。2026年度末の使用開始を目指すこの新線により、長年のネックだった「平面交差」が解消され、山形新幹線「つばさ」と東北新幹線「やまびこ」の連結・切り離し作業がスムーズになります。本記事では、ダイヤの乱れを減らし、輸送安定性を高めるこの工事の全貌とメリットについて解説します。
14番線・11番線双方使用で分割併合作業の平面交差激減
現在、山形新幹線「つばさ」の上下列車はいずれも14番線から発着しており、上り列車は東北新幹線の本線をまたぐかたちで、少なくとも2回の平面交差が生じています。このためダイヤ作成の自由度が限られ、輸送障害発生時には復旧に時間を要するなど、福島駅構内が運行上のボトルネックになっていました。
平面交差がなくなる仕組み

計画では地平区間約760メートルと高架区間約540メートルからなる上りアプローチ線を新設し、奥羽本線と新幹線上りホームを直接結びます。
新線の完成後は、上り「つばさ」が11番線を使用できるようになり、既存のアプローチ線は下り専用とすることで上下別線とします。これにより平面交差が大幅に減少し、上下列車の同時発着が可能になります。

完成後のメリットは?
福島駅アプローチ線が出来ることで、輸送の安定性向上に加え、需要に応じたダイヤ設定がしやすくなり、輸送障害発生時のダイヤ復旧時間短縮にもつながります。
同社では、福島駅構内の平面交差を解消することで、東北新幹線と山形新幹線の輸送品質を高めるねらいがあると説明しています。
ダイヤ乱れが発生した際に福島駅の配線が原因となって全体の遅れが拡大していた問題の緩和が期待されており、2030年度末の北海道新幹線札幌延伸など、将来の新幹線ネットワークの拡大も見据えた投資と位置づけられています。
雪や強風による遅延の影響を受けやすかった山形新幹線ですが、福島駅の『平面交差』という長年のウィークポイントが解消されることで、その信頼性は大きく向上しそうです。2026年度末、スムーズに発着する『つばさ』の姿が見られる日が待ち遠しいですね。
(写真:PIXTA、JR東日本)
鉄道チャンネル編集部
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