時短や効率が叫ばれる今の時代に、あえて「一晩中、直角のボックスシートで揺られる」という贅沢はいかがでしょうか。大井川鐵道(静岡県)2026年2月28日(土)に、国鉄時代の情緒を色濃く残す12系客車を使用した「夜行急行」を運行します。特急色を纏った電気機関車「ED314」が牽引し、夜の静寂に包まれたかわね路を12時間以上にわたって駆け抜けるこの企画は、単なる移動手段ではない「鉄道旅の原体験」を現代に蘇らせるものです。
この記事では、往年のブルートレインを彷彿とさせる編成の魅力から、家山駅でのライトアップ撮影、夜鳴きそばといった深夜のイベントまで、鉄道ファンならずとも心躍る「夜行列車」の魅力を詳しく紹介します。

タイパ時代の対極にある「不便を楽しむ」贅沢

効率や快適さが重視される現代の旅において、あえてリクライニングもしない座席での夜明かしを選ぶこのイベントは、究極の贅沢と言えるかもしれません。豪華寝台列車のような華やかさはなくとも、窓に映る闇、客車特有の揺れ、そして深夜の駅に佇む機関車の息遣いを感じる時間は、かつて日本中を走っていた「夜行座席急行」そのもの。この「旅の手触り」を継承し続ける大井川鐵道の姿勢は、歴史的車両の動態保存という枠を超え、失われつつある鉄道文化の記憶を次世代へ繋ぐ重要な役割を果たしています。

2026年2月28日夜の出発!大井川鐵道「夜行急行」

今回の夜行急行は、2026年2月28日(土)~翌3月1日(日)にかけて運行されます。
新金谷駅に19:00~20:00頃に集合 ⇒ 20:15に出発 ⇒ 翌朝9:30頃に再び新金谷駅へ戻るまでの、約12時間を超えるロングランとなります。
走行区間は金谷・新金谷・家山・川根温泉笹間渡の間を、途中停車を挟みながら複数回往復する特別なダイヤが組まれています。

さらに、希望者は付属の「大井川本線フリーきっぷ」を利用して、翌日の昼行急行列車へ継続乗車することも可能。昼行列車への継続乗車を含めると、最大で20時間を超える鉄道旅を堪能できるのが本プランの大きな特徴です。

【参考】大井川鐵道の12系客車が牽引機とともに魅せる夜の魔法(※2025年11月掲載)
https://tetsudo-ch.com/oigawa-12series-nightex/

特急色ED314と12系客車が紡ぐ「ブルートレイン」の記憶

編成イメージ

使用される車両は、2025年11月より大井川鐵道で運用を開始した国鉄時代の12系客車5両です。これを牽引するのは、ブルートレインを思わせる特急色を纏った電気機関車「ED314」。
青い車体に白いラインが入った客車と機関車の組み合わせは、まさに往年の名門夜行列車を彷彿とさせます。

座席は4人掛けのボックスシートで、寝台車ではない「座席夜行」スタイルでの運行となります。

通常ボックスプランの座席(イメージ)
テーブル付き座席プラン(イメージ)

深夜帯には車内が消灯され、星空や流れる街灯りを眺めながら、自分自身と向き合う静かな時間を過ごすことができます。長時間停車中には、騒音対策として室内灯が完全に消灯される時間もあり、小型ライトが貸し出されるなど、当時のリアルな夜行列車の雰囲気が細部まで再現されています。

深夜の駅で味わう「夜鳴きそば」と撮影タイム

旅のハイライトは、走行中だけでなく駅での停車時間にも用意されています。途中の家山駅では、先頭の電気機関車をライトアップしたミニ撮影タイムが設定されており、闇夜に浮かび上がる凛々しい機関車の姿を写真に収めることが可能です。

また、寒空の下で提供される「夜鳴きそば」の時間も設定されています。過去の参加者からは「家山駅構内での提供により、夜汽車感がさらに増した」「地元商店による美味しい静岡おでんも振る舞われた」といった非常に高い評価が寄せられており、五感で夜行列車を楽しむ工夫が随所に凝らされています。

旅行代金とプラン詳細

募集人員は100名で、最少催行人員は40名に設定されています。
座席プランは以下の2種類が用意されており、人数に合わせて選択可能です。

・【1ボックス1名様プラン】24,800円(税込)
・【1ボックス2名様プラン】34,800円(税込)※1名あたり17,400円

旅行代金には、夜行急行の乗車代金のほか、夕食のお弁当、お夜食(夜鳴きそば等)、川根温泉入浴チケット(翌日利用可)、大鉄ならではのお土産、そして出発翌日に有効な大井川本線フリーきっぷが含まれています。なお、中学生以上であれば未成年者のみの参加も可能ですが、親権者の同意書が必要となります。

予約は「JRE MALLチケット」内の大井川鐵道店にて、2026年1月30日20時00分より開始されています。非常に人気の高いイベントのため、早めのチェックがおすすめです。

2026年2月28日に運行される大井川鐵道の「夜行急行」は、12系客車という貴重な産業遺産を「生きた形」で体験できる、ファンにとって最高のステージです。昭和・平成を駆け抜けた夜行急行の鼓動を、令和の今こそ体感してみてはいかがでしょうか。あの頃夢見た、あるいは懐かしい、深い闇へと吸い込まれるような鉄路の旅があなたを待っています。
(画像:大井川鐵道のWebサイトより)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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