近鉄は、2026年6月1日(月)から、同社初となる一般車両を活用した有料座席指定サービス「すわれ~る」を開始します。対象は南大阪線・吉野線を走る新型車両「6A系」で運行される平日夕方の急行列車。大阪阿部野橋駅での熾烈な座席争いを避けたい通勤客のニーズに応えます。「特急王国の近鉄」が、なぜあえて一般車に指定席を設けるのか。サービスの概要、料金など詳しく解説します。

【参考】近鉄「6A系」南大阪線・吉野線に24年ぶりの新型車両!初のL/Cシートや荷物スペース”やさしば”を完備し5/19運行開始、撮影会も開催(※2026年5月掲載) https://tetsudo-ch.com/13027459.html

「すわれ~る」サービスの概要と対象列車

近鉄が新たに導入する「すわれ~る」は、2026年5月19日(火)から南大阪線系統で運行を開始する予定の新型一般車両「6A系」で実施します。

サービス提供区間

対象となるのは、平日ダイヤにおいて大阪阿部野橋 18:50発~吉野行き急行の1本のみです。この列車の先頭車両(吉野方1号車)が座席指定の専用車両となります。

サービス提供区間は、大阪阿部野橋駅~古市駅間の約16分間です。古市駅到着後は通常の車両として運用されるため、指定券を持っていればそのまま終着の吉野駅まで座り続けることが可能ですが、古市駅以降の座席確保は保証されません。

新型「6A系」による快適な車内空間

クロスシートすわれ~る車内イメージ

使用する6A系車両の指定席エリアは、ロングシートとクロスシートの切り替えが可能な「L/Cシート」をクロスシートの状態で運行します。定員は36名で、ゆったりとした座席で帰宅時間を過ごせることが大きな魅力です。

座席レイアウトは、1Aから9Dまでのクロスシートに加え、車端部にはロングシート(優先座席)も配置されています。車内には、ベビーカーや大きな荷物を持つ乗客向けの座席スペース「やさしば」も設けられ、現代の鉄道車両に求められるバリアフリー性も兼ね備えています。

料金と購入方法

乗車時はホーム足元の「すわれ~る」表示に並び、スマートフォンで座席指定券画面を提示

乗車には運賃のほかに「すわれ~る券」が必要です。
料金は一律300円ですが、2026年6月30日まではオープニングキャンペーンとして200円で販売します。

購入はスマートフォン専用の「すわれ~る」予約サイト限定となり、駅の窓口や券売機での販売、車内での精算は行われません。決済方法はクレジットカードまたはPayPayに対応しています。発売は乗車当日の午前5:30(サービス開始初日は午前10:00)からです。

近鉄が「一般車指定席」に踏み出した理由

近鉄といえば、アーバンライナーやひのとり、青の交響曲(シンフォニー)といった豪華な特急網が代名詞です。今回、南大阪線で一般車指定席サービスを開始した背景には、先行する京阪電鉄の「プレミアムカー」や、関東の私鉄各社が導入しているライナー列車の成功があると考えられます。
特に南大阪線は、吉野特急が併走しているものの、急行停車駅への着席ニーズが存在します。「特急に乗るほどではないが、数百円払ってでも確実に座りたい」という、短~中距離利用者の隙間需要を突いた形です。
また、新型の6A系は、クロスシートとロングシートを切り替えられる柔軟性を持っており、ラッシュ時以外は一般車として、夕方のピーク時には収益源となる「指定席」として、1両で二役をこなせる効率の良さも導入を後押ししたと考えられます。

特急を利用するまでもない短距離でも「確実に座れる」という選択肢が加わった南大阪線。「必ず座れる」という安心感は、毎日の通勤において何よりの贅沢かもしれません。まずは平日1本からのスタートですが、今後の利用状況次第では、さらなる増発や他路線への拡大も期待したいところ。近鉄の新たな挑戦を、まずはワンコイン以下のキャンペーン価格で体験してみてはいかがでしょうか。

(画像:近畿日本鉄道)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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