何故 平成筑豊鉄道にキハ55系に似たキハ2004があるのか?

キハ55形気動車は国鉄初の準急型で1956年(昭和31年)から1960年(昭和35年)にかけて486両が製造されました。蒸気機関車牽引列車をしのぐ走行性能を有し勾配線区やローカル線での高速運転を可能にした画期的気動車でした。1958年(昭和33年)には九州地区で国鉄初の気動車急行「ひかり」として運用されました。しかし車体幅が狭く冷房化されなかったこともあり1987年(昭和62年)までに全車両が廃車になってしまいました。


※画像はウィキペディアより

平成筑豊鉄道のキハ2004は北海道の留萠鉄道のキハ2000(2004・2005)で国鉄キハ22形に準じていますがタイフォンが国鉄キハ55系同様に前照灯両脇に付いていました。留萠鉄道廃止後は茨城交通(現・ひたちなか海浜鉄道)に譲渡され2005年(平成17年)まで使用されました。前面デザインが国鉄55系に似ているために国鉄準急型気動車の塗装に変更され2016年(平成28年)に平成筑豊鉄道に譲渡されました。

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つまり平成筑豊鉄道のキハ2004は残念ながら国鉄キハ55系ではなく、似ている車両なのです。しかし国鉄型と同じエンジンを搭載し車体もほぼ国鉄型気動車に準拠しています。今となってはとても貴重な車両なのです。


※画像はウィキペディアより

平成筑豊鉄道と「キハ2004号を守る会」

このキハ2004号を平成筑豊鉄道に譲渡してもらい動態保存しようと活動を始めたのが「キハ2004号を守る会」です。旧国鉄でディーゼルカーの保守などに携わり平成筑豊鉄道に移った後OBとして活動する前田忠さんが中心になっています。キハ2004号の車体はひたちなか海浜鉄道から無償で譲渡されましたが車両を茨城から九州まで運ぶために500万円近くかかるのです。ちなみに甲種輸送の場合は1000万円を超える金額が必要だったそうです。

クラウドファンディングで資金を集めキハ2004号を九州へ

九州鉄道記念館(副館長の宇都宮さんがボランティアとして「キハ2004号を守る会」に協力)や実際に車両を搬送したアチハ(株)などの協力も得て、2016年(平成28年)にはクラウドファンディングで搬送資金を集めることに成功し、キハ2004号は平成筑豊鉄道本社がある金田駅車両基地に運ばれてきました。

これからが動態保存の正念場

クラウドファンディングで集められたプロジェクト活動資金はあくまでキハ2004号の搬送を目的としたものでした。キハ2004には帳簿上の検査期限もあり、動態保存のためには車歴50年を越える車両の保守など少なからぬ費用が必要となります。


※画像はウィキペディアより

2017年4月に一般公開、5月には乗車体験が実施されました。今後は毎月1回キハ2004号を使用したイベントを通じて1人でも多くの人がキハ2004に乗って、動態保存に賛同してくれることを目指す様です。

6月4日(日)キハ2004号 乗車体験

平成29年6月4日(日)午前10時から午後1時まで、平成筑豊鉄道金田駅車両基地の南側会場で乗車体験・車掌体験が実施されます。ヘッドマークを装着したキハ2004号が車両基地内の約150mの線路を往復走行します。乗車には平成筑豊鉄道1日乗り放題の「ちくまるキップ」(大人1、000円・こども500円)を購入してください。会場でも販売されています。当日は日曜日なので「ちくまるキップ」ファミリー特典が有効です。大人券で大人と小学生1人が、こども券で小学生2人が利用できます。

車掌体験

乗車体験で運転されるキハ2004号の出発・到着時のドア開閉、ブザー合図、車内放送などを行う車掌体験が事前募集されます。応募は「キハ2004号を守る会」(hikaridc20-04@yahoo.co.jp)に住所・氏名・年齢・携帯電話など連絡先をメールしてください。1人3、000円の保存活動協力金の負担が必要です。貸出用に往年の国鉄制服も準備されます。年齢制限はありませんが小学生は保護者同伴での参加となります。

記念撮影会

乗車体験の際、構内で自由に撮影できる記念撮影会も実施されます。参加には「ちくまるキップ」か「ちくまるグッズ」購入が必要です。

現在は構内運転を行っていますが、必要な保安機器、車体の検査、運輸局への確認審査などの多大な費用と時間をクリアしていつの日にか本線を、筑豊の地をキハ2004号が駆ける日が来ることを願わずにはいられません。鉄道チャンネルは鉄道会社だけではなく、この様な鉄道に対する真摯な努力を応援します。


※画像はウィキペディアより