ハイダイナミックレンジ(HDR)合成イメージ作成ソフト「Photomatix Pro」の最新版となる“バージョン6”が、10月初旬リリース。独特の表現が可能なHDR合成で、「見たままの現実感」や「芸術的な風合い」など、幅広いスタイル表現が可能という。今回のバージョン6で新たに追加された「歪みを補正」オプションなどは、鉄道写真の傾きを直感的に補正できる機能として注目される。

Photomatix Pro シリーズは、イギリスに拠点を置く HDRsoft が開発したHDR合成ソフト。現在ポピュラーな Adobe Photoshop などは、HDR合成を提供せず、それらの問題を補完するプラグインも存在しないため、写真家などは、ダイナミックレンジの表現にレイヤーとマスクを駆使して露出のブレンドを行う必要があった。開発時点では、この技法は複雑でかんたんに処理できず、手間や時間の費やす作業だった。

そこで、HDRsoft は、ハイライトとシャドウを自動的にブレンドさせ、HDR合成イメージを直感的に作成できるPhotomatix シリーズ(Photo+Automatic)を開発。「思い描いた自然な見た目」「絵画的な風合い」「リアリティの追求」「非現実的なインパクトあるイメージ」などをかんたんに作成できるソフトとして写真家やクリエーターなどに定着した。

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合成手順は6ステップ。(1)明るい・適正露出・暗いという3つのブラケット写真の読み込み、(2)画像ズレ調整などの前処理オプションを経て、(3)HDR合成プレビュー画面で想い描く完成像にあわせ、(4)強さ・輝度・照明などのパラメーターを調整、(5)ブラシツールで微調整、(6)コントラストやシャープなどの最終調整でフィニッシュ。

同ソフトで作成した画像は、次のような仕上がりを実現できる。作品はいずれも「HDR Challenge」での最優秀作品だ。

Photomatix Pro でつくった芸術的な作品たち

1st Prize: Contemplation by Steve Guadarrama(Nikon D7000 – f/25, 0.4 sec – 11 exposures at 2/3 EV)

1st Prize: Peles Well by Mike Mezeu(Nikon D810 – 1/4, f/22)

1st Prize: Reykjanesviti by Pablo j Ruiz(Nikon D610 – 45s, f/2.8)

Photomatix Pro バージョン6 の新たな機能

今回のバージョン6で新たに追加された機能は、おもに次の5つのオプション。

リアリティを追求する合成法の追加
より現実的な見栄えを表現するオプション「トーンバランサー」が、このバージョン6から実装。インテリア撮影や自然なスタイルでの風景撮影で力を発揮。

洗練された色表現を部分的に強調
新しく開発されたブラシツールで、色の強調や変化をイメージのいち部分に特化して変更可能。彩度の変化に対応しているだけでなく、色相や輝度も各色ごとに調整、部分補正できる。たとえば、カラーキャストを取り除いたり、空の青さを強調したいときに役立つ。

合成の度合いをバランス良く調節
現実的な見た目を追求する場合、合成イメージと元画像の良い明暗部分をバランス良くブレンド。またブラシを使って特定の部分のみのブレンドも可能。

イメージの歪みを補正
新たに追加された「歪み補正」オプションを使うことで、水平線の取れていないイメージを真っ直ぐに、地平線が平行に見えないイメージの見た目を調整できる。鉄道写真や建築物撮影、風景撮影に役立つ。

より直感的なワークフロー
単一画像、またはブラケット画像を処理する場合でも、より直感的になったワークフローで「画像の読み込みから選択」「イメージ調整」までかんたんにすすめられる。

――――鉄道写真のブラッシュアップにも役立つ Photomatix Pro シリーズ。その最新版「Photomatix Pro バージョン6」は、シングルユーザーライセンス9900円(Windows/Mac 共通)で販売されている。