東京メトロ銀座線、三越前駅のA1出口を出ると、すぐに目に飛び込んでくるのが「山本海苔店 本店」。

江戸時代から、ここ東京・日本橋室町で海苔を売り続ける老舗がいつも以上に混雑した。

ことし初めて摘み取った新海苔(一番摘み、初摘み)を12月1日から売り出す“初売り準備”に追われていた。

ADVERTISEMENT

その前日の11月30日、山本海苔店は、日本橋室町に届いたばかりの新海苔や、バックヤードを報道に公開。

江戸時代末期から続く高級海苔の老舗とあり、会見には和服姿に流ちょうな江戸っ子ことばの堅物が現れると思いきや、スーツでキラースマイルが印象的なイケメン経営者が登壇した。山本貴大専務取締役だ。

初摘みの海苔の高級海苔を体験する前に……

山本海苔店の七代目である山本専務は、ここ日本橋室町で江戸時代に創業したころからの歴史を語ってくれた。

海苔というと、スーパーで売られている味付け海苔や、巻きずし用の海苔を想像するが、日本橋の高級海苔の世界は、まるで違った。

詳しい歴史は、公式ホームページ「山本海苔店の歴史」をみてもらうことにして、山本専務による“歴史と海苔の講座”で「へえ!そうなんだ!!」と思った山本海苔店トリビアを、ピックアップしてみる。

・山本海苔店の海苔は進物・贈り物として代表的存在
・海苔の形を横19センチ・縦21センチと規格化したのも山本海苔店
・日本初のドライブスルーはマクドナルドではなく山本海苔店
・海苔は11月下旬から採れ始める初摘みが「THE旬」で「粋」
・主要生産地は福岡・佐賀・熊本に面する有明海
・山本海苔店の海苔は佐賀工場から貨物列車で都心に運ばれる

この「初摘み海苔は、貨物列車で運ばれてくる」という道のりが、鉄道チャンネルニュース班にとっては胸アツ……。

初摘み海苔の柔らかい口どけ、高い香り……

記者たちが座る席の前には、業務用(兵庫県産)、青まぜ、進物用(梅の花)の3種類と、焼海老や梅、おかかなどの素材を2枚の海苔ではさんだ“山本海苔店定番”の「おつまみ海苔」が並んでいた。

「本当の海苔の世界」を知らない中年記者は、どれも「うわーうまっ!」と宮川大輔の気分。でも確かに、このなかでも進物(贈り物)用の定番「梅の花」は、ひと味違う。

「今回は、初摘み海苔(新海苔)をいろいろな食し方で試してみて」ということで、「山本海苔店の吉田麻也っていわれてるんですよ」と山本専務が冷やかす吉田似の若手男性社員に、おすすめの食し方を教えてもらった。これも、うまい。

贈り物に海苔を選ぶ、新海苔で旬を感じる……そんな風習も知らなかった。江戸っ子の粋、オトナの世界を、ちょっとだけ体感できた気がする。ありがとう、山本海苔店の吉田麻也。

届いたばかりの新海苔、その旬を体感してみて

毎年11~12月に収穫が始まるという海苔。海苔の世界では、各産地でその年の最初に摘まれた海苔を「一番摘み」「初摘み」という。

そしてその一番摘みの新海苔が、まさに旬で、柔らかく口どけがよく、香りも高いく「最もうまい」といわれている。

また、初摘みの次に摘んだ海苔が「二番摘み」で、一番摘みの海苔よりも、これはこれで食し方があるという。

奥深い、オトナの世界……海苔。その「最もうまい」といわれる新海苔が、12月1日、きょうから日本橋室町の老舗で売り出される。