新宿駅からJR埼京線 大宮行きに乗って23分。戸田駅の西側に突如、フランス・フラヴィニー村の風景が出現した。

現場は、埼玉県戸田市笹目1丁目。白壁の南欧建築、ステンドグラス、各戸に違う色を配したドア、時計台、カフェのようなバルコニー……。一瞬、「最近のアウトレットモールにいるの?」と錯覚してしまうほど。

実はここ、賃貸物件住宅

「これまでの常識をくつがえすデザインと街並みをつくった」というこの賃貸物件住宅の名は、「CHOCOLAT」(ショコラ)。

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12月初旬入居直前の11月30日、新聞・テレビ・業界紙などに内部を公開。4棟21世帯ぶんの“斬新空間”の全容が明らかになった。

「映画の舞台にもなった「世界一美しい村」ともいわれる、仏フラヴィニー村に感銘を受けた」という土地オーナーの「賃貸住宅で美しい街並みを実現できないか」という発想から建設プロジェクトがスタートした。

設計・施工はポラスグランテック(ポラスグループ)。

駅から徒歩16という距離で「即入居決定」

報道に公開された日、4棟に囲まれた石畳調の中庭に立ってみると、「たしかに南フランスか、それに似た最新のモール街とか、アウトレット施設にいるみたいね」といった記者の声が聞こえてくる。

その最大の特徴は、城門・時計台・カフェ・ヴィラといった南仏を想わせる要素を採り入れた建物が、中庭を回廊状に囲む“小さな街”を形成している点。

「駅から徒歩16分と、駅至近物件ではないのに、図面イメージ時点で入居が決まっていった」というから、賃貸ユーザーが嗜好性も多様化していることがうかがえる。

価格は? どんなユーザーが住むの?

そんな“埼玉の南フランスな賃貸物件”4棟のプロフィールはこうだ。

・ゲート(A棟):1LDK=8世帯
・クロック(B棟):2LDK=メゾネット2世帯/1R=4世帯
・テラス(C棟):2LDK=2世帯/2LDK=メゾネット1世帯
・ヴィラ(D棟):2LDK=4世帯

そして「どんな人がこの物件に決めるの?」と聞くと、「ワンルーム(1R)や1LDKは都内に勤務する独身男女、メゾネットや2LDKなどは子連れファミリーや新婚夫婦が多い」と担当者はいう。

別の記者からは「徒歩16分も歩くとなると、家賃も相場より低く設定してるかもしれないけど、これだけ南フランスふうにつくりこむと、家賃も高いんじゃない?」という声。

「ワンルームが6万円台、メゾネットが10万円前後」という担当者の声に、記者陣は驚いていた。

小さな街に長く住むという発想

都心から電車で30分前後というエリアに、突如出現した南フランスの小さな街。

手がけたポラスグランテックの担当者は「一般的な設計なら25~30世帯の賃貸住宅が建てられるところを、他物件との差別化を目的に、理想の賃貸住宅づくりを優先し、21世帯におさえた」という。

「小さな街に長く住む」「家族が増えたら、ショコラ内で広い間取りの部屋に移り住む」という発想で、この小さな南仏の街ができたと……。

―――戸田市笹目に現れた、フランス・フラヴィニー村の風景。その“ありえない光景”を、写真で体感してみて。