もはや楽器というよりは 美術品?

2018.03.23

ベーゼンドルファー(L.Bösendorfer Klavierfabrik GmbH)の「とんぼ(Dragonfly)」はピアノ?

ベーゼンドルファーと言えば1828年に設立されたオーストリアのピアノメーカー、アメリカ(ドイツ)のスタインウエイ(Steinway & Sons)と世界的に人気を二分することで知られています。余裕のあるふくよかな響きと音色を備え、「至福のピアニッシモ」と言われる弱音から強音まで幅広く表現できるバランスの良さと、調和のとれた和音の響きが特徴で多くのピアニストたちに愛されています。

フランツ・リストを筆頭に、ブラームス、ヨハン・シュトラウス、ブゾーニ、リストの弟子ヴィルヘルム・バックハウスやフリードリヒ・グルダ、またジャズピアニストのオスカー・ピーターソンなど著名なピアニスト御用達のピアノとしても極めて高名です。

『Dragonfly』は、ベーゼンドルファーピアノの人気モデルである「モデル200」をベースに、ヨーロッパの伝統的な象嵌細工の手法を用いた繊細な装飾を大屋根の内側に丁寧に施した、全世界18台限定のモデル。大屋根の内側に描かれたトンボと花々の優雅なデザインは、オーストリア・ウィーンにあるシェーンブルン宮殿の壮麗な庭園を彩る動植物をモチーフとしています。

鍵盤左側の拍子木部分にシリアルナンバーの入った真鍮プレートがはめ込まれ、限定モデルに相応しい特別な仕上げが施されています。

大屋根の内側に描かれているデザインは、皇妃マリア・テレジアとその夫である神聖ローマ皇帝フランツ1世の夏の離宮として知られるシェーンブルン宮殿のシンボルとも言える壮麗な庭園から着想を得ています。色付けした木材に焼いた砂で焦げ色をつけて陰影をつける伝統的なサンドシェーディング技法を用いて、トンボとアザレアの花々のモチーフが優雅に表現されています。

「モデル200」は、すべてのチューニングピンに1本ずつ独立して弦を張る「総1本張り」の手法によって音程の安定性を高めているほか、低音部の弦に手巻きの巻き線を採用し、響板を含め楽器全体の85%以上に高品質なスプルース材を使用。オーストリアの熟練した職人の手作業で時間をかけて丁寧に作り込むことで、「ウィンナートーン」と呼ばれるベーゼンドルファー独自の豊かな響きを生み出しています。

仕様

寸法(間口×奥行き×高さ):151cm×200cm×102cm
重量:353kg
鍵盤数:88鍵
ペダル:3本(ソステヌートペダル付)
付属品:高低自在椅子

3月20日(火)に発売されます。受注生産なので納品まで1〜3ヶ月が必要です。18台の限定で1台20,000,000円(税抜き)。

ベーゼンドルファーが日本の楽器メーカー・ヤマハの100%子会社になっていることを御存知でしたか? 

大量生産メーカーの傘下に美術品/工芸品の様なピアノ製造会社が安定的に存立していることは消費の大衆化が極限まで推し進められた現代社会において、貴族的なメーカーが生き残る最良の方法かもしれません。さもなければLVMHの様にブランド管理を一元化/集約して利益(狭い市場でのブランドの)最適化を図るしかないのかもしれません。

いずれにしてもヤマハ傘下でこの様な美術品/工芸品の様なピアノが手作りされることは希有の素晴らしいことではないでしょうか。あの「ジャギュア」ですらインドの自動車メーカーの傘下で高級車を製造しているのです。

個人的には「鍵盤左側の拍子木部分にシリアルナンバーの入った真鍮プレート」が些か貧乏臭い様な気がします。本来のベーゼンドルファーなら眼に付かない場所に付けているはずです、から。

こちらの記事もオススメです