りょうもう38号、きょうも定時__錦糸町の出会いと衝撃と幸せ
東北線 久喜駅から北へ、北西に10km。埼玉県加須市。
淡々と、しれしれと、浅草と伊勢崎・桐生・赤城を結ぶ、東武特急「りょうもう」。
夏のような日差しが午後からさしはじめたきょう、日が傾きかけたころ、加須から乗った。りょうもう38号。列車番号1438。
この日、りょうもう38号を担う東武200系は、太田を16時57分に発ち、加須に定刻どおり、17時32分に入ってきた。
加須入線時点で、乗車率2割ほど。加須では、見ただけで自分ともうひとりの50代と思しき女性を乗せて、キュイっという音を発してゆっくり走りはじめた。
―――このあとの車内のドキュメントは、また次にゆずるとして、びっくりしたのは、錦糸町。
錦糸町駅で、JR線に乗り換えようと、JR錦糸町駅の改札を抜け、3・4番ホームの総武快速線ホームへ。
日暮れどきだし、もう一杯、呑んでいいだろうと自虐的に。グリーン車連結部分よりも東京よりのNewDaysに入り、缶ビールを片手にレジを待っていると―――。
向こうから、いつも世話になっている東武鉄道の、おっさんひとり。
「きょうは? グリーン車ですか?」
「いや特急で帰ろうかなと」
「特急ーっ?」
「うん、そうね。じゃあまた」
ふたりとも、手には缶ビールや缶チューハイ。
鉄道の現場を毎日毎日、仕事する人と、一瞬の出会い。その手に、缶ビールと缶チューハイ。
りょうもう走る、鉄道社員も走る―――。きょうも、定時。
(シリーズ:ドキュメント淡々特急)