江戸時代 五街道のひとつ、中山道の9番目の宿場町、深谷宿。

「この深谷で最新の自動運転実験車を研究している」ということで、最寄り駅のJR高崎線 岡部駅に立つ。

正直、「こんなところで自動運転実験車がほんとに走ってんの?」と思うぐらい、のどかでのんびり。

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ぴよぴよと鳴く鳥の声と、とうもろこし畑が広がるこの土地に、まさか、最新技術を詰め込んだ自動運転実験車が、公道を使って実証実験しているとは……。

AI志向の高校生が殺到

で、やってきたのは埼玉工業大学。この日はちょうどオープンキャンパスの初日で、自動運転実験車のまわりには多くの高校生とその父母たちの姿。

この大学では来年、2019年4月に工学部情報システム学科にAI専攻を新設するということで、自動運転やAIロボットなどに注目が集まった。

当初、大学側が用意した情報システム学科AI専攻ガイダンスの会場は、定員オーバー。AIに関心を持つ高校生たちとその親たちで、立ち見が出るほど。

前出の埼玉工業大学の自動運転実験車は、埼玉県内初の公道での自動運転車の実証実験として稼働中。このクルマを走らせるのは、工学部情報システム学科の研究チーム。

ベースはZMP製自動運転開発プラットフォーム RoboCar HV。同大学工学部情報システム学科、渡部大志教授(理学博士)は、大学のある深谷でよく発生する濃霧や煙霧での走行影響などもデータとして収集する。

AIや自動運転の研究現場を体感

今回のオープンキャンパスでは、大学構内の駐車場を無人運転で周回するデモンストレーション走行に、実際に同乗するチャンスがあった。

助手席に座る学生や記者らは、運転席が空席のまま、ハンドルが勝手に回り、構内を走る・曲がる・止まるという動きに、驚く。

この研究チームは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における、「自動走行システム」大規模実証実験に参画。

同大学は、私立大学としては唯一の参加機関で、国内外の大手自動車メーカーなどとともに、実証実験を重ねていた。

大学のAI人材育成が動き出す

また同大学ではAI専攻の新設に向けて、現在、日本ディープラーニング協会と連携し、国内の高等教育機関で初の、日本ディープラーニング協会G検定・E資格の取得認定プログラムを申請中。

工学部情報システム学科の佐藤進教授や井上聡准教授は、来年新設するAI専攻コースの教育内容を高校生や父母たちに説明。

「AI専攻は、PythonなどのAIプログラム言語、深層学習、人工知能概論、自動運転概論などのカリキュラムをそろえる」という。

―――AI時代の人材育成が、大学でも動きはじめた。