7時間かけて、出張先から新幹線で帰ってきた。

あらためて思うのは、鉄道の、新幹線の、ちから。

いろいろ思い出した。20年前、鉄道雑誌の編集部にいたころ。もっとも仕事ができないスタッフとして、正社員でいたとき。

編集長から「おい、★★くん。新幹線のきっぷを買ってきてくれ」と、いつもの命令があった。

グリーン車利用で、東京から博多までのきっぷを買ってこいと。なつかしい。ほんとうに、あのころを思い出す。

いまの時代、この時点でパワハラかもしれないけど、そんな作業は日常茶飯事(死語)だった。

「こいつなんとかしてくれないか。使えないバカを」ってことを、会議中にいわれたこともあった。なつかしい。

たぶんその人はいまも雑誌編集で元気だ。かっこ笑い。

―――きょう、下関の出張仕事を終えて帰ってきた。

当時の鉄道雑誌編集部で、自分よりちょっと先輩の、同じ編集部の先輩が下関にいるはず。

「いま下関にいます。呑みませんか?」と電話したかった。

でも、SNSもやらないし、友だちも人脈もゼロの身。結局、ダメだった。

そんなゲスな自分の思い出シーンなんか、フットサル(吹っ飛ばす)ほどに、新幹線は速かった。

得意先から、「えーーーっ。マジで新幹線で帰るんですかーーーっ?」って笑われた。

笑われる自分も、選べるなら、エアで帰りたいと思う。「あさって下関にいってくれ」っていうオーダーには、その選択肢はない。

鉄道雑誌編集部の先輩にもあいさつできず、下関の空気も感じられず、飛び乗った新幹線。

でも、速かった。新神戸あたりまでで資料をアップして、新大阪を過ぎてうとうとして、気づいたら、品川手前だった。

いつも、あたりまえのように、決まった時間で自分の身を届けてくれる新幹線。

いま、地元の日高屋で瓶ビールを注文してるのが、奇跡みたいだ。