駅名標。摂待(地名)はたぶん地元の武家摂待氏に由来しています。1984年(昭和59年)三陸鉄道北リアス線の駅として開業。愛称の「旅の八郎」は地元の伝説からだそうです。しかしネットで探した範囲では、この伝説は見つかりませんでした。せめて駅に伝説の概略と解説でもあれば良いですよね。

ホーム待合室。暖房が無いと寒いです。

摂待トンネル(2446m)。長いトンネルが続きますね〜。

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トンネルを出るとスラブ軌道に替わっていて、頭上には震災後に再建された国道45号線がのしかかっていました。

小本川には、世界で初めて鉄道専用橋梁として建設された3径間連続PC斜張橋の小本川橋梁が架かっています。橋の長さは117.7m。1979年(昭和54年)の竣工当時は、まだコンピューター設計の黎明期で、建設した鉄建公団は苦労した様です。竣工から5年間、鉄道建設が凍結されていました。その後、三陸鉄道北リアス線として供用が開始されたのです。無駄にならなくてよかったです。

ケーブルワイヤではなくPC(プレストレストコンクリート)の斜材で支えられています。要は潮風による塩害から橋を守る対策として開発された工法なのです。土木学会賞を受賞しています。

筆者は、実はほとんど分かっていないのですが(すみません)、この橋梁が嚆矢となって新幹線などの長大な橋梁が実現したそうです。

橋を渡ると岩泉小本駅。摂待駅から3.6km。

島式ホーム1面2線です。

駅名標。1984年の開業時は小本駅。2011年の震災で北リアス線が全線不通になりましたが3月29日に田老駅〜当駅間が営業再開。2014年4月には北リアス線が全線復旧。駅舎の建て替えが始まり2015年に「小本津波防災センター」を兼ねた駅舎が完成。駅名を岩泉小本駅に改称しています。駅の愛称は「泉湧く岩」は、国の天然記念物龍泉洞から湧き出る水が流れこむ小本川の河口部に岩泉小本駅があるためだそうです。

廃止されたJR岩泉線の岩泉駅と岩泉小本駅が同じ岩泉町内とは知りませんでした。廃止されてしまいましたがJR岩泉線は計画ではこの駅まで延伸されることになっていたようです。直線距離で20kmほどでしょうか。とにかく岩泉町ってめちゃくちゃ広いので地図を見てビックリしました。岩泉線が廃止されたため、天然記念物龍泉洞へは駅前から岩泉町民バス小本線で45分、龍泉洞前で下車します。とにかく透明度が高い龍泉洞の地底湖など美しい龍泉洞は「恋人の聖地」と地域で名付けられ、デートスポットとして人気がありそうです。

では、【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線その29 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)