東武鉄道は、2019年3月期決算説明会でのおもな質疑応答について公表した。以下、抜粋―――。

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※本内容は、書き起こしではなく、説明会での質疑応答の内容を弊社にて簡潔にまとめたものです。あらかじめご了承ください。

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Q.グループインバウンド収益について、収益の中心となっている事業は何か。また、今後拡大していく上でのドライバーは何か。

A.百貨店・ホテル・スカイツリーの3つが中心となり、大半を占めている。これらは今後も更に誘致を拡大できるものと考えており、より一層インバウンドのお客様に対して働きがけを強くしていきたいと考えている。また、その他の事業についても逐次受入環境を整えていきたい。

Q.鉄道各社でMaaSへの取り組みが話題となっているが、東武鉄道の現状の取り組みについてうかがいたい。

A.当社においても沿線での導入に向けて検討を進めているところである。いわゆる観光型MaaSが主となっていくと想定している。国土交通省も新モビリティサービス推進事業を支援する枠組みを発表しており、当社としても、この枠組みを利用し、沿線で実証実験ができないか検討している。具体的には、バスやレンタサイクル等、コンテンツが充実しており、観光エリアも比較的コンパクトな川越地区での実施を想定している。

Q.日光・鬼怒川エリアについて、エリア内の周遊性が課題だと考えているが、何か解決策はあるのか。

A.当面は、日光エリア、鬼怒川エリア、下今市エリアの周遊性を高める施策を進めており、当社発着人員が2010年比較で7割程伸びたほか、日光市への入込数も2年連続して過去最高を記録しており、一定の成果が表れてきたと考えている。今後は更に、ザ・リッツ・カールトン日光の開業も予定されている中禅寺湖・奥日光エリアへの回遊性を高め、滞在日数の長期化や消費の促進をすることが必要であると考えており、栃木県と協力した渋滞対策等に取り組んでいるところである。

Q.スカイツリーは料金改定等により、2019年度計画において来場者数は前年比で増加するものの、営業収益は減収見込みとのことだが、増収になるのは2020年度なのか。また来場者数は中長期的に何万人を目指す想定でいるのか。

A.開業前想定では、しばらくすると来場者数は350万人程で落ち着くとみていたが、様々な営業施策やインバウンド効果により、想定より高い水準430~440万人程度で落ち着きがみえてきている。現在は、来場者数を早く下げ止め、少しでも増加させていくことが課題と考えている。そのためにも、浅草~スカイツリー間の回遊性を高めるべく、歩道橋の整備や、高架下商業開発等を計画しているほか、中長期的にはスカイツリー周辺の再開発等を視野に入れ、エリア全体を盛り上げていきたいと考えている。なお、2019年度も、現在のところ順調に推移しており、天候に左右される事業ではあるが、引き続き様々な営業施策を実施し、2019年度計画をしっかりと達成したい。

Q.ホテル事業の2019年度及び2020年度の営業利益の見通しについて伺いたい。新規ホテルの開業費用はどれくらいを見ているのか。また、新規ホテルはどれくらいの利益貢献があるのか。平年度ベースのホテル業の営業利益はどの程度になるのか。

A.新規開業予定の5ホテル全体での開業費用は全体で約10億円を想定しており2019年度で約7億円である。主に人件費、備消品調達の費用であるが、2019年度は開業を控え人員確保のため費用が多くなると見込んでいる。新規開業する宿泊主体型ホテルではGOPを50%程度と想定しており、一般的な宿泊主体型ホテルの適正水準を考慮しても一定の利益を確保できると考えている。

Q.東武ストアが新業態としてオープンするとのことだが、この事業に対する考え方をうかがいたい。立地が良いのは理解しているが、コンビニに対して競争力のある商品ラインナップを確保できているのか、また将来的に目指す利益水準を示してほしい。

A.新業態での出店による売上や利益への影響自体はそれほど大きなものではないと考えているが、本中期経営計画で掲げている「沿線における事業の深耕による沿線価値の向上」にむけて、より利便性を向上させる東武カードのグループポイントサービスと合わせることで、日常使いのスーパーという面からも、沿線のお客様にこれまで以上により魅力的な様々なサービスを提供していきたいと考えている。