JR北海道 平成27年度の線区別収支状況を公表
JR北海道が公表した平成27年度の線区別収支状況によれば、平成26年度に引き続き全線区で営業損益が赤字となっている。
輸送密度が500人未満の線区(合計585.4営業キロ)の営業収益10億2千7百万円に対しかかった営業費用は81億6千7百万円、71億4千1百万円の赤字だ。
この線区の営業係数(100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数)の平均は795円(管理費を除いた場合は696円)。
やはり留萌本線「増毛~留萌/輸送密度67人/日」の2538円(同2297円)と札沼線「北海道医療大学〜新十津川/輸送密度79人/日」の2213円(同1948円)が群を抜いて悪い。特に留萌本線「増毛~留萌」は営業収益が7百万円しかないのに営業費用が1億8千4百万円かかっている。年間1億7千7百万円の赤字だ。
同様に根室本線「富良野〜新得/輸送密度152人/日」が1854円(1665円)、留萌本線「深川〜留萌/輸送密度183人/日」が1342円(同1171円)、石勝線「新夕張〜夕張/輸送密度118人/日」が1188円(同1046円)と続いている。
しかし最大の赤字路線は函館本線「函館〜長万部/輸送密度3799人/日」で、営業収益46億9千7百万円に対し、営業費用が96億6千6百万円もかかっており、49億6千9百万円もの赤字を計上している。その費用増加分は北海道新幹線開業を見越し札幌〜函館間のアクセスを強化するための線路などの修繕費だという。しかし平成26年度にも88億4千8百万円の営業費用がかかっていたのだから9.2%(8億1千8百万円)の増加に過ぎないのである。
営業費用が多くかかっている線区は札幌地区の427億9千4百万円を別にすれば(但しこのエリアは営業収益も406億1千9百万円と大きい上に営業係数も2ポイント上がって105円とJR北海道の中では最良なのだ)石勝線・根室本線「南千歳〜帯広/輸送密度4213人/日」の79億6千1百万円(赤字額16億8千6百万円)、根室本線「帯広〜釧路/輸送密度3266人/日」の54億7千3百万円(赤字額32億8千8百万円はJR北海道のワースト2位)だ。
JR北海道の鉄道事業合計として営業キロ2311.2kmで輸送密度5094人/日、営業収益が768億4千7百万円に対し営業費用が1251億2千7百万円で482億8千万円の赤字だ。これは平成26年度の数字よりも68億1千3百万円悪化している。
平成28年度はこれに災害に対する巨額の復旧費用がのしかかってくる。しかし、これ以上国民にJR費用を負担させるのは不可能だ。だからと言って、経済的に疲弊する北海道民に押しつけるのはさらに無理がある。
既に国鉄分割民営化時の旧国鉄借金37.1兆円のうち3割程度、11.6兆円をJR東日本・JR東海・JR西日本・JR貨物が返済することになっている。残る25.5兆円を日本国有鉄道清算事業団が返済する予定だったが、バブル期の土地高騰(一説には用地売却の資産価値が30兆円を超えると言われた)の機会を政治介入などで逸失し結果的に借金を28.3兆円に増やして解散。約半分の16.1兆円の有利子負債は国の一般会計(たばこ特別税)に組み込まれ国(国民)の借金となっている。残る半分は債務免除になった。
ここで旧国鉄の借財について云々しないが、そもそも利子返済だけで年間1兆円という異常事態に旧国鉄を追い込んだ責任は戦後からの日本国政府と為政者たちの無責任と無策にあったのだ。
荒唐無稽かも知れないがJR全社で再度収支の統合を行うなど極端な荒療治が必要かもしれない。JR東海が借金をしてまでリニア新幹線を作る前に本来の鉄道の保全を考えるべきではないだろうか。