どこか近鉄21020系アーバンライナー・ネクストにも似た、小田急新型車両5000系。そのフロントデザインには、これまでの小田急車両に存在した貫通扉がない。

小田急の通勤型車両は、営業運転中の形式で古い順に、アイボリーの8000形、オールステンレス車の1000形2000形、2002年に登場した3000形、東京メトロ千代田線に直通する4000形などがある。

このなかで、先頭車両に貫通扉をもつモデルが、8000形、1000形、2000形、4000形。で、メトロ千代田線に直通している形式は4000形のみになってしまった。

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今回登場した新型車両5000形は、この貫通扉をもたない10両固定編成。分割併合などせず10両固定で小田急線内のみを走る想定でつくられた。

モーター車・モーターなし車の組み合わせは、新宿寄り先頭車から、クハ(モーターなし)+デハ(モーターあり)+デハ+サハ(モーターなし)+サハ+デハ+デハ+サハ+デハ+クハという具合。

モーター車両が5両で5M、モーターなし車両が5両で5T(トレーラー)の5M5T組成で、この組み合わせは1000形や3000形の10両固定編成と同じ。

小田急は、通勤型車両の分割併合サービス(多層建て列車)をやめ、10両固定モノクラス化し他形式とともにより柔軟に運用させることをめざしているか。

この5000形10両編成を新たに6本入れる計画で、押し出されるクルマは古い順に8000形や1000形の分割タイプから退役させるのか。

この流れは、特急車両にも波及しそう。現在、小田急の特急車両は、相模大野などで30000形EXEや60000形MSEの分割併合シーンに出会える。けど、これも新たな固定編成の登場で姿を消しそう。

―――貫通扉と分割併合シーンが消えていく、小田急線。新型5000形の曲面を組み合わせたシンプルなフロントデザインは、貫通扉が消えたからこそできたデザインなのかも。箱根や江ノ島への旅は、あえて相模大野で分割併合する列車に乗るのもありかも。

5000形 写真:神森沙織
それ以外の写真 記事:鉄道チャンネル編集部