JR北海道 日高線 鵡川〜様似間の復旧を断念
日高線、鵡川〜様似間(116.0km)は平成27年(2015年)1月の高波被害で不通となり、その後JR北海道と沿線自治体の間で復旧と持続可能な運営についての協議が行われてきた。しかし、残念ながらJR北海道は以下の事象を理由に日高線の復旧を断念すると発表した。
①被災による復旧費用の試算が86億円、さらに海岸浸食対策の離岸堤整備などを含めると総額が100億円を越えてしまうこと。
②日高線(鵡川・様似間)の維持に必要な収支差額と土木構造物老朽対策の単年度費用16.4億円をJR北海道が単独では負担できないこと。
③上記単年度費用からJR北海道の列車運行に係わる費用3億円を差し引いた13.4億円を地元自治体に上下分離方式の導入、あるいは費用支援を提案したが自治体側は受入が困難と回答し、復旧の前提である「鉄道を持続的に維持する仕組み」が合意に至らなかったこと。
④モータリゼーションの進展、沿線人口・高校通学者の減少などにより鉄道の利用が平成26年度の輸送密度で186人とJR北海道発足時(昭和62年)の約3分の1にまで減っていること。そのため平成26年度の収支状況は年間約11億円の赤字となっていること。
※グラフはJR北海道ホームページより
⑤高規格幹線道路の日高自動車道が平成29年度には厚賀IC(仮称)まで延伸予定であり、静内ICまで事業区間とされていることなどから鉄道のさらなる利用減が想定されること。
反駁のしようも無いほど明解な理由が述べられている。今後、JR北海道は日高線に替わるバス路線など、新たな交通体系の確立や地域振興への支援を沿線自治体と協議するという。
鉄道用地や施設などの無償譲渡、鉄道公園など駅舎周辺整備、鉄道用地を活用する地域振興のための整備費用の一部補填など、JR北海道が協力することを提案している。
さらに札沼線北海道医療大学〜新十津川間、石勝線の夕張支線新夕張〜夕張間、根室線の富良野〜新得間。北海道の冷え切った風に息が詰まりそうな状況が続く。
※表記のない写真は全て筆者撮影のものです
日高線をコラムで取り上げているので興味があれば御参照あれかし。
終端駅③ JR日高本線 様似 2016/6/19
https://tetsudo-ch.com/3730.html
JR北海道発表/廃止予定46駅データ④日高本線
https://tetsudo-ch.com/8359.html