岡山と松江・出雲を結ぶ、山陰・山陽 連絡特急やくも。

岡山~出雲市を1日15往復(上下15本)する特急やくも は、2020年3月ダイヤ改正で、岡山 毎時05分発にほぼそろえた。

特急やくも は、中国山地を縦に走る伯備線を経由し、山陽新幹線と山陰線を結ぶ陰陽連絡特急として1972(昭和47)年に誕生。

ADVERTISEMENT

現在、この 特急やくも を担う車両は、車体を傾かせ山あいの急曲線をより速く走れるように国鉄が設計した振り子つき381系。

1982年、伯備線電化にあわせて伯備線に381系が登場し、それまで特急やくも を担ったキハ181系を置き換えた。

岡山~備中高梁や江尾駅~出雲市の間は120km/hで走り抜け、山あいの急曲線も振り子を効かせてクイックに駆けていく381系も、特急やくも を担ってすでに38年。

いつしか「最後の国鉄形特急電車」と呼ばれるように。

そんな国鉄製381系のアグレッシブな走りを体感できるのもあとわずか。

JR西日本は、2022年度から伯備線に新型車両を導入する計画で、この先2~3年で381系の定期運用が消滅するかも。

特急やくも は現在、後藤総合車両所出雲支所の381系4両編成を基本に運転。

出雲市方から1号車で、1号車にグリーン車、2・3号車に指定席車、4号車に自由席車を組む。6・7・9両編成で運転する日もある。

また、やくも3・13・17・27・2・12・16・26号の1号車は、サロ381形グリーン車中間車を先頭車に改造したクロ380形パノラマ型グリーン車に。

381系4両基本編成のなかには、出雲方1・2号車がモーターなし(T)、3・4号車がモーターつき(M)で、T-T-M-M(2M2T) という、あまりみかけない組み合わせもある。

松江~岡山 45分! 伯備新幹線という未来図

最後の国鉄形特急電車、381系が振り子を効かせながら駆け抜ける伯備線には、実は新幹線構想がある。

それは中国横断新幹線。いわゆる伯備新幹線。

特急やくも が走る島根県松江市は、2019年10月20日、「伯備新幹線の早期実現を求める総決起大会」を開き、新幹線の必要性などについて未来図を描いている。

中国横断新幹線(伯備新幹線)は、岡山市を起点に、松江市までを結ぶ新幹線基本計画路線。

1971(昭和48)年、全国新幹線鉄道整備法にもとづき、山陰新幹線(大阪市~鳥取市付近~松江市付近~下関市)とともに閣議決定。45年以上を経たいまも、具体的な進捗はない。

京都大学の試算では、新幹線導入による時間短縮効果は、松江~鳥取は現状1時間20分が新幹線開通後40分に、松江~岡山は現状2時間40分が新幹線開通後45分に、松江~大阪は現状4時間弱が新幹線開通後1時間半に短縮されるとみている。

(資料画像:国土交通省)